買ってはいけない味醂その理由とは…

煮物などの料理において、欠かせない存在である味醂。私の家庭でも頻繁に使用しています。煮物に美しい照りを与えたり、甘辛く仕上げたい時に利用したり、さらには魚の生臭さを和らげるために使ったりと、和食の調理においては非常に重要な調味料といえるでしょう。

しかし、忙しい現代社会の中では、家庭で一から素材を使って料理をすることが少なくなってきている方も多いのではないでしょうか。便利なレトルト食品などを利用するために、「味醂は使わない」と考えている方もいるかもしれません。また、スーパーに行くと様々な種類の味醂が並んでいますが、何となく「みりん」と表示されている安価で大容量のものを選んでしまうことが多いのではないでしょうか。安価な食品にはそれなりの理由があります。 ここからは味醂について、まず「味醂とは何か」ということから順を追って説明していきたいと思います。

味醂とは

味醂とは、蒸したもち米に米麹を混ぜ、焼酎または醸造アルコールを加え、約1年かけて熟成させた後に圧搾し、濾過して作られるもので、アルコール度数は約14パーセント前後のお酒です。

 

スーパーで目にする味醂にはさまざまな種類があることに気づくでしょう。味醂と言っても、みりん風調味料や発酵調味料など多くの異なる種類が存在しています。次に、味醂の種類について詳しく見ていきましょう。

味醂の種類について

本みりん
この「本みりん」は、上記で説明した「味醂とは」に該当する製品です。アルコール度数は約14パーセントで、飲用も可能なため、酒税法上では酒類として分類されています。こちらが我が家で使用している味醂の原材料表示です。

みりん風調味料
このタイプは、砂糖や水飴などの糖類、酒粕、食塩、そして米や米麹などの醸造調味料を原料としています。味醂に似た甘味を持ちますが、アルコール分は1パーセント未満であり、酒税の対象とはなりません。本みりんよりも安価に流通しているため、手軽に購入できることが魅力です。こちらは「みりん風調味料」の原料表示の一例です。

発酵調味料
こちらは、もち米と米麹をアルコール発酵させ、塩分を加えたものです。塩分が加わることで飲用は不可となり、酒税の対象外となります。このように、発酵調味料も本みりんに比べて安価に流通していることが多く、みりんタイプの調味料とも呼ばれています。原材料はシンプルですが、あくまでみりん風調味料として位置づけられます。

味醂を使うことにより得られる6つの効果とは

甘みや旨味をつけてくれる
味醂が持つ甘みは砂糖の甘味とは異なり、発酵過程で生じるブドウ糖などの糖類によるものです。また、アミノ酸も豊富に含まれているため、料理に深い旨味を加えることができます。このように、味醂による「深い味わい」は、砂糖では得られない特別な効果です。

料理に照り・つやをつけてくれる
味醂に含まれる糖類は、素材に膜を形成するため、料理に美しい照りやつやを与え、見た目をより美味しそうに演出する効果があります。

魚などの食材の生臭さを消してくれる
加熱することで、味醂に含まれているアルコールが蒸発し、食材の臭みを取り除く効果があります。そのため、煮魚料理などには特に重宝される調味料です。

他の調味料との相性が良い
味醂は液体状であるため、味噌や醤油、酢などの他の調味料と非常に良く混ざります。さらに、アルコールが含まれているため、他の調味料との相乗効果により、食材への浸透が良くなる効果が期待できます。

煮崩れを防ぐ
味醂に含まれるアルコール成分は、タンパク質の凝固作用を持ち、ペクチンが溶け出すのを防ぐため、煮崩れを防ぐ効果があります。この特性が、煮物に使用される理由の一つです。

加熱すると香りが良い
加熱すると、味醂に含まれる糖類やアミノ酸が、美味しそうな香りを放出します。夕食時に思わず良い香りが漂うことがありますが、「隣の家の夕飯は肉じゃがかな…」と想像させるのも、味醂の持つ効果かもしれません。

買うべきではない味醂とは

味醂の種類や効果を考えると、どのような味醂を選ぶべきでないかが見えてくるでしょう。要するに、従来の材料と製法で作られた味醂以外は、真正な味醂とは言えないため、選ぶべきではないということです。

特に、アルコール度数が1パーセント未満の「みりん風調味料」は、ほとんどアルコールが含まれていないため、料理に使用しても上述の「味醂の効果」をほとんど得ることができません。「みりん風調味料」では、甘味を水飴や砂糖などのショ糖で代用しているため、深い味わいを出すことが難しいといえるでしょう。

買うべき味醂とは

調味料は調味料風のものではなく、やはり本物を選ぶべきです。 すなわち、もち米と米麹を原料に、アルコールを加えて熟成発酵させた、アルコールを含む調味料が味醂、つまり「本みりん」なのです。「本みりん」を使用することで、上記で述べた「味醂の効果」を得ることができ、料理の味や見た目も大いに向上します。私が住む地域には、味醂の名産地があります。日本国内でも生産量は第二位を誇り、江戸時代から続く味醂のふるさととも言われています。幸運なことに、地元産の昔ながらの製法で作られた味醂が、どのスーパーでも手に入るのです。価格はおおよそ1000円前後と、他の「みりん風調味料」や「発酵調味料」と比べると高価ですが、本物であるだけに、安心して体に取り入れることができ、料理の味にも明らかな違いが出てきます。

九重味醂
三河みりん
(地元ではさらにお得に購入できる場合があります…)

まとめ

料理に欠かせない味醂について、その種類や効果をご説明させていただきました。せっかく調味料として取り入れるのであれば、本物を選んでみるのはいかがでしょうか。まとめとしては以下のポイントになります。

・表示名には「本みりん」と記載されているものをできるだけ選ぶ。
・味醂を使うことで得られる効果がたくさんある。
・「みりん風調味料」では味醂本来の効果は得られず、あくまで風味付けにとどまる。

味醂を選ぶ際に、皆様の参考になれば幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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