赤ちゃんから高齢者まで、誰もが利用する重要なアイテム、それが「歯ブラシ」です。
各メーカーからは多種多様な特徴を持つ歯ブラシが販売されており、どれも基本的には歯を磨くためのものだから、選ぶ際に特別なことはないと思っている方も多いかもしれません。筆者自身も、以前はデザインや価格だけを重視して選んでいました。
しかし、実際にはこの歯ブラシ、お口の中の健康状態や使用者に合わせて慎重に選ぶことが非常に重要です。
ブラシの硬さ、材質、大きさ、そして柄の形状など、注意すべきポイントは実に多く存在します。
ここでは、特に重要なポイントについて詳しく解説します。
ブラシの硬さ
この点については、すでに気にして選んでいる方が多いかもしれません。歯ブラシは「かため」「ふつう」「やわらかめ」の3種類に分類されます。
「ふつう」は、ほとんどの方が問題なく使用できる一般的なタイプですが、特に注意が必要なのは「かため」の歯ブラシです。
「かため」の歯ブラシは、ブラシ部分がしっかりとしているため、磨いた後のスッキリ感を得ることができ、歯垢を効果的に除去できます。力が弱くても十分に汚れを落とせるため、高齢者の方には向いていることもあります。しかし、その一方で、歯茎を傷めやすいというリスクがあるのが最大のデメリットです。ゴシゴシと力を入れないと磨いた気になれない方や、歯茎が弱っている方には適さない歯ブラシと言えるでしょう。
対照的に、「やわらかめ」の歯ブラシは、歯や歯茎を傷つける心配が少ないため安心して使うことができます。歯茎が弱っている場合でも、優しいタッチで汚れを落とすことができ、非常に適しています。
毛が柔らかくしなることで、磨き残しがちな歯と歯の間や、歯と歯茎の境目にも入り込み、効果的に歯垢を除去してくれます。また、歯茎を傷めにくいため、歯茎のマッサージ効果も期待できるでしょう。
ただし、柔らかい分丁寧に磨かないと、磨き残しが出やすいので、注意が必要です。
毛の材質
一般的には、ナイロンなどの人工毛で作られている歯ブラシが主流です。人工毛は吸水性がほとんどなく、乾燥しやすいため、衛生的に使用できます。
ただし、耐久性が低く、毛先が開きやすいという欠点があります。
一方、豚や馬の毛を使用したものも存在し、動物の毛ならではの弾力性やしなやかさがあり、毛先が開きにくく、歯や歯茎を傷つけにくいと言われています。
しかし、人工毛とは異なり、吸水性が高いため、乾燥しにくく、雑菌の繁殖に関して衛生面で不安が残ります。毎回しっかりと乾燥できない場合は、こちらは避けたほうが無難でしょう。
ヘッドの大きさ・形
ブラシのヘッドが大きいと、一度に広範囲を磨くことが可能ですが、細かい部分や奥歯に届きにくいため、磨き残しが出やすくなります。特に口が小さい女性などは、できる限り小さいヘッドのものを選ぶことで、細かい部分までしっかりと磨くことができます。ブラシの幅の目安としては、自分の前歯2本の幅を基準にすると良いでしょう。
また、ブラシの表面には平らなタイプやギザギザにカットされたものがあります。
歯と歯の間の汚れを効果的に除去するには、実はギザギザよりも平らなものが優れています。平らな表面は均等に力が入るため、毛先を小刻みに動かすことで、しっかりと汚れを取り除くことができるのです。
歯並びが悪い場合など、ギザギザの山型にカットされたものが適していることもあります。
毛先の形状
細かな部分ですが、ブラシの毛先の形状も目的に応じて使い分けることが重要です。
一般的には、毛先が平らな「フラット」や、丸みを帯びた「ラウンド」などの形状があります。歯の表面の汚れを効率的に落とすのに役立ちます。
毛先に向かって徐々に毛が細くなる「テーパード」は、毛先が歯周ポケットの奥まで届き、歯周病予防にも効果的です。毛先が柔らかいため、歯茎を傷つけにくいというのも大きなポイントです。
「フラット」「ラウンド」と「テーパード」の両方が使用されている歯ブラシもあり、これらの長所を兼ね備えているため、一石二鳥の選択肢と言えるでしょう。
柄の形状
ストレートなものやカーブのついたものなど、さまざまな形状がありますが、基本的にストレートのものが一番おすすめです。奥歯までしっかりと届き、磨き残しを防ぐためには、突起などがない方が良いでしょう。
小さなお子さんが使用する場合は、誤って喉に刺さってしまうリスクを避けるため、柄が曲がるタイプが安心です。
おまけ
今回は歯ブラシの選び方についてお話しましたが、歯ブラシで磨いた後の仕上げとして「デンタルフロス」や「歯間ブラシ」を使うことも強くおすすめします。
歯と歯の間に残る汚れをしっかりと取り除くことができ、ブラシだけでは届かない場所のケアにも役立ちます。使用する際には、くれぐれも歯茎を傷つけないように丁寧に扱うことが重要です。
まとめ
歯ブラシを選ぶ際の重要なポイントについてお話ししました。
使用する方の歯や歯茎の状態、年齢に応じて適切なものを選ぶようにしてください。
歯垢を効果的に落とすことと、同時に歯や歯茎を傷めないこと、この両方が非常に重要です。
さらに、毎月1回を目安に新しい歯ブラシに交換し、常に清潔なものを使うことにも留意してくださいね。
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