庭に植えるなら、買ってはいけない!つる性植物トップ3

私は40年にわたる園芸の経験を持ち、その中で数多くの失敗を重ねてきました。
決して誇れることではないのですが、この40年間を振り返ってみると、植物が大好きな私でも「植えなければ良かった」と心から思った植物がいくつかありました。

これから庭作りを始めるあなたには、ぜひ失敗を避けてほしいと願っています。無駄に疲れを感じて、園芸を嫌いになってほしくないのです。

私のように「この花は可愛い!」「美しいから植えよう」と考えなしに庭に植えてしまうと、後になってお手入れに想像以上の体力と時間を奪われることになります。

この記事を読むことで、決してお庭に植えてはいけない特にクセが強いツル性植物について理解できるでしょう。

結論として、庭に植えるとお手入れが超大変なツル性植物を知ることで、あなたの園芸における苦労を軽減することができます。

■庭に植えるなら、買ってはいけないツル性植物トップ3 (これは私の独断と偏見による順位ですので、参考程度にしてください。) 第1位 ノウゼンカズラ 第2位 藤(フジ) 第3位 キウイフルーツ

それでは、各植物について詳しく見ていきましょう。

買ってはいけない!第1位 ノウゼンカズラ

買ってはいけないツル性植物として(地植え、鉢植え共に避けるべきです)、私の独断と偏見による堂々の第1位は、ノウゼンカズラです。

一般的な植物は、根が地中にしっかりと張り、枝葉は地上に伸びていきます。身近な例では、朝顔や桜の木があります。しかし、ノウゼンカズラは地上に伸びたツルの途中から根が生えてきます。地上に伸びたツルが接触した壁や物に根を張る特性があり、いわゆる気根性植物に分類されます。この性質は、非常に厄介で注意が必要です。

無知や油断から植えてしまうと、戸建ての住宅では屋根まで覆われてしまうこともあります。私も以前、通りすがりにノウゼンカズラに覆われた家を見かけました。その家はオレンジ色の花で覆われていて、窓らしきものがかろうじて見えました。古い家で空き家なのか、それとも庭の手入れができない高齢の方が住んでいるのかは分かりませんが、見た目はとても美しい花でした。しかし、家の壁や塀に穴を開けて根を張るその樹勢の強さには驚かされました。壊れた外壁は見た目が悪く、修繕にはどれほどの費用がかかるのか心配になりました。そんな風になってしまうなら、自分の家には植えてはいけないと、その時は強く思ったのです。

しかし、「時が経てば忘れる」という言葉の通り、数年後にはなんと私はノウゼンカズラを育ててしまいました。花が美しいし、植木鉢で育てれば剪定をこまめにすれば大丈夫だろうという甘い考えを持っていましたが、現実は甘くありませんでした。枝を切っても、切っても、切っても、次々と根を張る場所を見つけてしまいます。油断する隙もありませんでした。結局、1年も経たずに処分せざるを得なくなりました。他の植物や外壁、塀の修繕を考えると、どうしてもそうせざるを得なかったのです。

ノウゼンカズラの漢字は『凌霄花』と書き、「凌」は”しのぐ”、「霄」は”そら”を意味し、つまり”大空を凌ぐ勢いで育つ植物”ということです。昔の人はこの名前を付けるのが本当に上手でした。

また、ノウゼンカズラの花の蜜には毒性が含まれています。決して口に入れてはいけません。また、皮膚がかぶれるという事例もあるため、特に皮膚が弱い方は注意が必要です。目に入ると、目が腫れたり赤くなったりする炎症を引き起こすこともあります。さらに、ペットを飼っている方も注意が必要です。もしノウゼンカズラの手入れをしなければならない場合は、完全防備で挑むことをお勧めします。園芸用のメガネをかけ、肌の露出をできるだけ避け、手袋を着用し、首周りをスカーフなどで覆うと良いでしょう。

さらに、ノウゼンカズラには縁起の悪い言い伝えもあります。ノウゼンカズラの花は全体がポロっと、たった1日で落ちてしまいます。この様子を昔の人は罪人の首を落とす「打ち首」に例えました。もう少し別の例えにしてほしかったですね。怖すぎます。

花には様々な花言葉や背景がある中で、こういった少し怖い言い伝えを気にされる方は、やはり購入を控えた方が良いでしょう。

ちなみに、ピンクノウゼンカズラという品種も存在しますが、こちらは至って安全でした。育ててみた結果、ピンクノウゼンカズラはまるで『別物』でした。しかし、「でした。」と過去形になるのは、半年で枯れてしまったためです。なぜなら、ピンクノウゼンカズラは、非耐寒性の半常緑樹で耐寒温度は-5度です。私の住んでいる地域は、比較的寒さの穏やかな関東北部の平野部ですが、-5度よりも気温が下がるのは、一冬に1~3日程度です。寒冷紗でしっかりと巻きましたが、それでも地植えでは冬を越すことができませんでした。属性が異なり、ピンクノウゼンカズラはポドラネア属で、ノウゼンカズラ属とは性質が異なります。枝葉の勢いは旺盛ですが、ツルの途中から根が生えてくることはないため、その点では安心です。壊れた外壁の修繕費を心配しなくて済むだけでも、高感度が大幅にアップします。グリーンカーテンとしても最適で、花も美しく、冬さえ越せるならぜひ残しておきたい植物だと思いました。

結論として、縁起が悪く、家の壁や塀の修繕費も高額になる上、毒性もありお手入れが超大変なことを考慮するとノウゼンカズラはやはり購入しない方が良いです。植木鉢で育てても、あまりの樹勢の強さに心が折れました。個人的には、植木鉢であっても植えない方が無難だと考えています。(ピンクノウゼンカズラは、冬越しできる暖地で育てるには、それなりにメリットがあると思います。)

続いて、

買ってはいけない!第2位 藤(フジ)

藤(フジ)は英語で「wisteria」(発音:ウィステリア)と呼ばれ、とても魅力的な落葉性の花木ですが、庭に植えることはお勧めしません。その理由は、藤が根を強く広範囲に張る特性があるからです。この根は、家の土台や排水管を持ち上げてしまった事例が多数報告されています。また、地上ではツルが他の植物に絡みつくことで締め付けたり、日を遮って枯らしてしまうこともあります。

とはいえ、藤の花はとても魅力的で、多くの方が育ててみたい、見に行きたいと考えているでしょう。もし育てるのであれば、植木鉢をおすすめします。ただし、植木鉢で育てる際にも、地面に直接置くと底から地面に根をおろしてしまいますので、動かそうと思っても「あっ!動かない!」となってしまいます。台風に強いというメリットもありますが、動かせないのは困りますよね。対処法としては、必ず受け皿の上に植木鉢を置くことが重要です。

藤の花を見に行くのであれば、本州では4月から5月初頭が見頃です。日本全国には、多くの公園や神社に植栽されています。特に東京では、亀戸天神社が有名です。スカイツリーとの共演はとても素敵です。都会にいながら、一時の優雅な癒しを味わえて、心が洗われます。
https://www.youtube.com/watch?v=Ailnp2RF6UI

日本一と言われる藤には、”「樹齢」の日本一”と”「藤棚の長さ」の日本一”があります。

「樹齢」の日本一は、岡山県の阿智神社にある「アケボノフジ」という品種で、樹齢はなんと300年から500年とも言われています。岡山県の県指定天然記念物です。この長寿の藤を拝むことができれば、なんだか長寿をお裾分けしてもらった気分になれるでしょう。
https://www.youtube.com/watch?v=KJTV7diZf-g

「藤棚の長さ」の日本一は、和歌山県の[リフレッシュエリアみやまの里森林公園内]にある、全長1,646mの藤棚ロードです。軽い山登りをしながら藤の花を楽しむことができます。癒し効果抜群で適度な運動もでき、心身の疲れも吹き飛ばせますよ。
https://www.youtube.com/watch?v=3Edzimf4hrY&t=99s

また、もう一つのおすすめスポットとして、都心から車で約1時間30分の栃木県にある[あしかがフラワーパーク]もあります。紫、ピンク、白、黄と様々な色の藤の花を楽しむことができ、タイミングが合えば藤の花と薔薇、クレマチスの共演も堪能できます。主演の綾瀬はるか、坂口健太郎が出演した映画『今夜、ロマンス劇場で』の撮影地でもあります。特に夜のライトアップは圧巻で、まるで映画の世界に入り込んだようなロマンチックな気分を味わえますよ。
https://www.youtube.com/watch?v=m9EABSFxLCU
https://www.youtube.com/watch?v=5Q7KZbaKPjc

藤の花言葉には「決して離れない」「恋に酔う」「忠実な」「優しさ」「歓迎」があります。最初の2つは少し重い印象を与えるため、怖いとの意見もありますが、私は決して悪くはないと思います。近年では大人気アニメ『鬼滅の刃』にも藤の花が登場し、知名度が上がっています。

このように藤の花には魅力がたくさん詰まっていますが、その強い根が家の土台を持ち上げることや、他の植物に悪影響を及ぼす可能性を考えると、やはり庭に植えることはお勧めできません。公園や神社で見て楽しむだけにするか、育てるなら鉢植え(受け皿必須)にしましょう。

最後に、

買ってはいけない!第3位 キウイフルーツ


↑例)3年剪定をサボるとこんな風貌に
キウイフルーツは、少し弱めになってきましたが、庭に植える際には毎年剪定する覚悟がないなら、購入しない方が良いです。その理由は、キウイフルーツには大変さを上回る魅力がたくさん詰まっているからです。

まず、キウイフルーツは抗酸化物質が豊富で、安眠効果も報告されています。食べるタイミングとしては、夕食後が最適です。腸内環境を整え、美肌効果も期待でき、さらに動脈硬化や脳卒中の予防にも役立ちますし、冷え性や肩こりの改善にも貢献します。その上、ビタミンCも豊富で、キウイフルーツ1個で約71mgが摂取できるのです。1日2個食べることで、成人の1日の必要量を補うことができます。我が家では、キウイフルーツのある時期には、毎晩夕食時にヨーグルトと一緒に食べています。そのおかげで、何十年も家族全員が冬に風邪を引いていないのです。これは一重にキウイフルーツのおかげだと、私は思っています。

そして、春にはとても可愛い花が咲きます。

効能と可愛さの2点で、私はキウイフルーツを育てることをやめられずに今に至っています。ですので、もしあなたが「剪定くらい頑張れる!」というのであれば、ぜひお勧めの果樹となります。

しかし、「買ってはいけない」として第3位にランクインした理由がある通り、良いことばかりではありません。冒頭の写真は、「3年剪定をサボるとこんな風貌に」という実例です。写真のように3年ほど剪定を怠ると、こんな大変な状態になってしまいます。言い訳になりますが、生活は色々と忙しいものですよね。庭木の手入れに、常に全力を注げるわけではありません。私もそうでした。しかし、キウイフルーツの木の成長は、待ってはくれません。それだけのことなのです。(3年越しの剪定地獄は、言うまでもありませんでしたが。)

このような経験から、私は今では電動剪定バサミが手放せなくなりました。家庭菜園用のものであれば、4000円ほどから1万円程度で購入できますので、ぜひAmazonで探してみてください。キウイフルーツ以外でも、様々な場面で重宝します。

また、キウイフルーツを育てる際には、支柱の高さと素材が非常に重要です。植木鉢で育てる場合は、大木になりにくいので、ダイソーの支柱でも問題ありませんが、地植えの際は別です。地植えをする場合には、ダイソーの園芸支柱では強度が不足し、台風などで倒れたり折れたりする可能性があります。せっかく育った木も、支柱が倒れれば折れてしまうこともあるのです。理想的なのは、細めの単管パイプと針金で枠を作ることです。専用の資材も販売されていますので、それらを利用するのも良いでしょう。その際には、必ずあなたが無理なく手が届く高さにしましょう。ちなみに、我が家のキウイフルーツは、長身の父が育てたため、私には手が届かず、脚立を移動しながらでないと剪定できません。「脚立を切りたい枝の下に持って行き、登って切る」という作業を繰り返すのは、想像以上に大変です。木が支柱の高さで成長してしまっているため、単管パイプで作った支柱を簡単には作り変えられません。気づけば、時間が経ってしまったのです。最初に手が届く高さにしておけば、あれこれ登ったり降りたりしなくても済んだのですが、今となっては後の祭りです。

しかし、そもそも植木鉢で育てるなら、大変さが大幅に軽減されます。収穫もそこそこ期待できるため、手軽に育てたい場合にはおすすめです。なお、キウイフルーツは授粉樹が必要で、1本では実がなりませんが、「ニューエメラルド」という品種は1本でも実がなります。お手軽です。しかし、出来れば、個人的には果肉が黄色く、大きな実がなる「アップルキウイ」という品種をおすすめします。アップルキウイは、一般的なキウイフルーツの1.5倍の実量で、まるでリンゴのように大きなキウイです。(リンゴよりは小さいですが。)しかもビタミンCはグリーンキウイの2倍含まれています。

先ほど、1日2個でビタミンCの必要量が補えると言いましたが、アップルキウイなら1個で十分です。さらに、スーパーではあまり見かけないため、こういった果物こそ家庭で育てることをおすすめします。

結論として、キウイフルーツは庭に植えるなら、毎年の剪定に時間をかけられないのであれば、やめた方が良いです。しかし、剪定の手間を考慮しても、育てる価値は十分にあると思います。おすすめの栽培方法は、植木鉢で育てることで、その際には育てやすく実付きも良く、大きな実がなるアップルキウイという品種が特におすすめです。授粉樹(オス木)のおすすめは、よくセット販売されている定番の孫悟空ですので、間違いありません。

まとめ

いかがでしたでしょうか。植物は心を癒してくれる存在です。お花を見ると、ホッとすることも多いですよね。そんな良いイメージのある園芸ですが、実際のところ大変なこともたくさんあります。特に一部のツル性植物は、外壁を壊したり修繕費がかかったり剪定が頻繁に必要だったりと特に注意が必要です。また、毒があったりと思いもよらぬ害を被ることもあります。私たちは普段、園芸や家庭菜園のためだけに全ての時間を捧げることはできませんよね。あなたも日々の家事や仕事、その他のことに多忙ではありませんか。しかし、園芸はやりたい!好きだ!!「その気持ち、分かります!!!」私も日々忙しいですが、園芸だけは40年続けてきました。しかし、時には「好きだけど嫌いになりそう」と感じることも何度もありました。あなたには、そんな苦労をさせて園芸を嫌いになってほしくありません。私のように失敗を繰り返し、時間を無駄にしてほしくないと願っています。そんな気持ちを込めて、この記事をお届けしました。

ここまで読んでくださったあなたは、すでにクセが強いツル性植物を理解することができました。植物を育てることは、良いことばかりではないかもしれません。しかし、上手に付き合えば、楽しく癒される最高の時間になるでしょう。これからも、あなたの園芸ライフが一層充実したものになることを心から願っています。最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。

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