やってはいけないたこ足配線 たこ足配線に潜む危険とその対策

あなたはたこ足配線を行っていませんか?
現代の生活において、家電製品を使わない生活なんて考えられませんよね。
家電製品の数が増えれば、それに伴って電源も必要になります。
そのため、電源が足りなくなり、たこ足配線をしている方も多いのではないでしょうか。

必要に迫られて行ってしまうたこ足配線ですが、実は火災の原因になる可能性があることを知っていましたか?
消防庁の調査によると、2022年上半期に発生した住宅火災5,867件のうち、397件(6.8%)が配線器具に起因しているとのことです。
たこ足配線が引き起こす火災のメカニズムを理解し、その対策を講じることが重要です。

たこ足配線がもたらす火災のリスクとメカニズム

電源タップなどの配線器具から火災が発生する原因には、主に2つのタイプがあります。1つ目は、配線器具が過熱して発火するパターンです。
2つ目は、配線器具のどこかがショートして発火するパターンです。

現代社会では家電製品が多く使われているため、電源の確保は非常に重要な課題です。
どのような使い方がリスクを伴うのか、火災が起こるメカニズムを知識として身につけ、火災防止に役立てましょう。

延長コード各部名称
①コンセント(差し込み口)
②差し込みプラグ
③タップ
④コード
⑤個別スイッチ
⑥プラグ端子

火災発生のメカニズム① 過電流による発熱、発火

過電流とは、配線器具が受け入れられる電気の量を超えて電気が流れることを指します。
この電気が容量を超えて流れると、配線器具は熱を発生させ、その結果高温になり、発火の危険が生じます。

一般的な家庭では、壁のコンセントの電気容量は1500Wで設定されています。接続する延長コードの電気容量も同様に1500Wです。通常、家電製品の消費電力は1500Wを超えないように設計されています。
そのため、家電製品を直接壁のコンセントに接続した場合、1500Wを超えることはありません。

しかし、延長コードを使用してコンセントを増設し、複数の家電製品を接続する場合には、1500Wを超えて電気が流れる可能性があるため、特に注意が必要です。

火災発生のメカニズム② トラッキング現象

トラッキング現象とは、コンセントと差し込みプラグの間にほこりが溜まり、そこに湿気などが加わることでショートし、発火する現象です。特にコンセントがほこりのたまりやすい場所、家具や家電製品の裏側に設置されていると、注意が必要です。

このトラッキング現象は、家電製品を使用していない時でも、電源コードが接続されている状態であれば発生する可能性があるため、厄介な現象といえます。

火災発生のメカニズム③ コードの破損、絶縁不良によるショート

絶縁用外皮(コードのカバー)が破損したり、内部の2本の銅線が断線すると、ショートして発火することがあります。
その一因として、家具や家電などの重い物をコードの上に置くことが挙げられます。重さによってコードは破損しやすくなります。
また、コードを束ねて使用することもリスク要因です。
束ねる際に強く折り曲げてしまうことで断線の危険が増し、束ねた部分に熱がこもると絶縁用外皮が溶けてショートを引き起こすこともあります。

メカニズム④ 接続部のゆるみによるショート

差し込みプラグを頻繁に接続すると、延長コード側の接続口が摩耗し、緩んでしまうことがあります。
この状態で使用を続けると、接続不良が生じプラグ端子がショートし、発熱や発火の原因となることがあります。

接続部の緩みは、プラグ端子が曲がった状態で使用することでも進行するため、定期的に点検を行い、接続部に緩みがないか確認することが求められます。

配電器具による火災の予防対策

延長コードなどの配電器具による火災予防対策として、たこ足配線を行わないことが最も効果的な対策となります。
しかし、家電製品を使用する中で、たこ足配線がどうしても必要な場合もあります。
そのような場合には、火災防止策をしっかりと講じることが重要です。

具体的な火災防止対策としては、以下の項目が挙げられます。

①過電流を避ける
②ほこりや水の付着を避ける
③コードを断線させない
④延長コードの交換
⑤コンセントの増設

ここでは、たこ足配線を行う際の火災予防対策と、たこ足配線を避けるための対策について詳しく紹介します。

火災予防対策① 過電流を避ける

過電流を避けるためには、たこ足配線した家電製品の消費電力の合計が1500Wを超えないようにしなければなりません。
たこ足配線を行う家電製品の消費電力を合算し、1500Wを超えないよう計算して接続することが大切です。
消費電力の大きい家電製品は、たこ足配線せずに単独で使用する必要があります。

延長コードの容量が1500Wであっても、接続する家電製品は1200〜1300W程度に抑え、少し余裕を持たせて接続することが推奨されます。
余裕を持たせることで発熱や発火のリスクをさらに低減できます。

また、節電タップを使用し、こまめに個別スイッチで電源をオフにすることも過電流対策として効果的です。
個別スイッチで電源をオフにしている間は電気が流れないため、無駄な電力消費を抑えることができます。

代表的な家電製品の消費電力

家電製品消費電力(目安※1備考
スマートフォン5.4~16.8W充電中
冷蔵庫 240~360W
炊飯器700~1400W
掃除機 (紙パック式)1000~1190W
掃除機(サイクロン式)800~1000W
パソコン50~150W
テレビ40~600W
電子レンジ 400~1000W使用するモードにより消費電力が変動します。
ドライヤー 600~1500W風量や機能によって異なります。
ホットプレート700~1400W温度設定によって消費電力は変わります。
オイルヒーター360~1500W出力モードによって異なります。
電気ストーブ400~1200W

※1 これらの消費電力はあくまで目安です。各製品によって異なるため、確認が必要です。

火災予防対策② ほこりや水の付着を避ける

トラッキング現象による出火を防ぐために、接続部にほこりが溜まらないように注意する必要があります。
この対策としては、定期的に掃除を行うことが非常に有効です。
そのため、延長コードのタップは、家電製品や家具の後ろに置かないようにしましょう。
ほこりが貯まりやすい上、目につきにくい場所では掃除を忘れがちになります。

掃除が難しい場合は、プラグカバーの使用もおすすめです。
プラグカバーは、コンセントの接続部に使用することで、電源接続部分にほこりが溜まらないようにするトラッキング対策商品です。

火災予防対策③ コードを断線させない

コードの断線によるショートや発火を防ぐためには、以下の点に注意を払うことが大切です。

・家具や家電などの重い物でコードを踏むことを避けること。コードの上に物が乗っていることに気づかない場合があるため、家具や家電を動かした際には必ず確認しましょう。

・コードを引っ張らないこと。電源コードを抜く際には、コードではなく差し込みプラグを持って抜きましょう。コードを引っ張ることで断線のリスクが高まります。
また、コードにつまずいて引っ張ってしまうことを避けるために、人の動きが多い場所にコードを置かないよう心がけましょう。

・コードを束ねて使用しないこと。コードを束ねるだけでなく、ねじれた状態や絡まった状態で使用することも断線やショートの危険を引き起こしますので注意が必要です。

火災予防対策④ 延長コードの交換

延長コードは、一般的に5年ごとに交換することが推奨されています。絶縁を目的にコードは被覆されていますが、中の状態は目視で判断できません。
定期的に点検し、以下のような不具合が見つかった場合は、即座に交換しましょう。

・コードを動かすと電源が付いたり消えたりする場合。これは延長コード内部での断線が考えられます。
この状態はショートや、家電製品の故障につながるため、早急に交換が必要です。

・差し込みプラグの抜き差しが緩くなっている場合。これは接続不良を引き起こしていることがあり、ショートの危険性が高まりますので、早めの交換をおすすめします。

・差し込みプラグの端子が焦げたり、溶けている場合。これは延長コードが断線やショートしたことにより起こる変化です。この場合、すでに延長コードは壊れているため、直ちに使用を中止してください。

・本体やコードにひび割れや傷がある場合。このまま使用すると漏電の可能性が高く、大変危険です。即座に使用を中止し、交換しましょう。

・コードやプラグが熱くなっている場合。これはコード内部での電線や接触不良が考えられ、使用を中止する必要があります。

火災予防対策⑤ 壁にあるコンセントの増設

たこ足配線を避けるためには、壁のコンセントを増設することが非常に効果的な対策となります。
火災予防においても非常に有効ですが、一方で工事が必要な大掛かりな作業でもあります。
そのため、賃貸住宅では家主の許可が必要となるなど、実施が難しい場合もあります。
また、ここで紹介した火災防止対策の中では、最もコストがかかる対策ともいえるでしょう。

まとめ

家電製品に囲まれて生活する私たちにとって、常に電源の問題は付きまといます。
各家電を使用する際に、それぞれを接続し直すのは手間がかかるため、たこ足配線に頼ってしまうことが多いです。
たこ足配線は非常に便利ですが、火災のリスクを伴うため、火災防止対策が必須です。
対策には、簡単に実行できる手軽なものから、コストをかけて工事が必要な大掛かりなものまで様々あります。
火災が発生するという最悪の事態にならないためにも、できるところから対策を始めていきましょう。

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