買ってはいけないノミ取り首輪

ホームセンターやペットショップで「ノミ取り首輪」という商品を見かけたことがある方は多いのではないでしょうか。このアイテムは、装着するだけでノミの対策ができるという手軽さから、ペットを飼っている方々が購入を検討することもあるかもしれません。しかし、実際には市販のノミ取り首輪にはほとんどメリットがないばかりか、むしろデメリットが目立つという情報が、動物病院などから発信されています。

この記事では、なぜノミ取り首輪を購入することが推奨されないのか、その理由について詳しく解説していきますので、ぜひ最後までご覧いただければと思います。

局所的な効果しかない
ノミ以外には効果がない
薬剤が副作用を起こす可能性がある
素材が硬い
ノミ対策は動物病院で

局所的な効果しかない

まず初めに知っておくべきことは、ホームセンターなどで販売されている市販のノミ取り首輪は「動物用医薬部外品」として分類されています。この「動物用医薬部外品」は、動物病院で処方される「動物用医薬品」に比べてその作用が緩やかであり、期待できる効果も限定的です。したがって、市販のノミ取り首輪による駆虫効果は薄く、その効果は首周りに限られてしまいます。

首回りだけを対策しても、他の部位にノミが残ったままでは、ノミ駆除の意味がほとんどないということは明白です。市販のノミ取り首輪の多くは、天然成分を主成分とした不十分な効果を持つものが多く、全身のノミに対処できるケースは稀です。また、首輪の周囲であっても、予防的な働きは示すことがあっても、既に寄生しているノミを駆除するほどの力はないとされています。もしペットが痒そうにしていたり、体表にノミが確認できたりする場合は、効果を実感できないことが多くなります。

ノミ以外には効果がない

ノミ取り首輪は、ペットに害を及ぼす虫の中でもノミに特化したものであり、他にもペットに悪影響を与える虫が存在します。たとえば、激しい皮膚のかゆみや脱毛を引き起こす可能性がある疥癬（かいせん）を引き起こすヒセンダニや、マダニなどは、ペットに噛みついて病気を媒介することが知られていますが、これらの害虫にはノミ取り首輪ではまったく対処できません。

これらの害虫は主に屋外で感染するため、完全に室内で飼育しているペットにはあまり心配がないかもしれませんが、毎日散歩をする犬などにとっては、ノミ取り首輪だけでは十分に守ることはできません。害虫はちょっとした草むらや公園など、身近な場所に潜んでいる可能性が高いため、些細なことでも感染するリスクが存在します。ペットとお出かけすることが多い飼い主さんは、特に注意が必要です。

薬剤が副作用を起こす可能性がある

ノミ取り首輪は、駆虫作用のある薬剤を染み込ませて作られていますが、これらの薬剤に対してペットがアレルギー反応を示し、体調を崩してしまう可能性があることを忘れてはいけません。同じノミ取り首輪でも、動物病院で処方されるものは経過を観察し、副作用がないかどうかを確認してもらえるのですが、飼い主がホームセンターなどで購入したものでは、アレルギー反応に気づかずに過ごしてしまうリスクが高くなります。

海外では、ノミ取り首輪が原因でペットが命を落としたという痛ましい事例も報告されています。首輪の周囲に湿疹や炎症が見られる場合は、ノミ取り首輪によるアレルギーを疑うべきでしょう。皮膚への症状だけでなく、食欲不振や貧血といった全身的な症状が現れることもあります。

素材が硬い

市販のノミ取り首輪の多くは、ポリ塩化ビニル（PVC）という比較的硬い素材で作られています。この素材は布製など他の素材で作られた首輪に比べて刺激が強く、接触によって脱毛を引き起こすリスクが高まります。皮膚が敏感なペットの場合、薬剤による刺激だけでなく、物理的な接触による刺激も考慮しなければなりません。

さらに、ポリ塩化ビニル製のノミ取り首輪は重みがあるため、硬さと相まって表皮への負担が大きくなります。また、通気性が悪いこともペットの皮膚に対してマイナスに働く要因となります。もし首輪の周囲だけに脱毛が見られたり、ハゲができてしまったりした場合は、首輪の素材が原因である可能性を考慮する必要があります。このような症状に気づいた場合は、すぐに現在使用している首輪を外し、できるだけ早く動物病院に相談することが重要です。