お子様が小学校高学年や中学生に進級してくると、多くの保護者の方々が塾通いを真剣に検討されることが増えてきます。また、学習塾だけでなく、家庭教師や通信教育といった他の選択肢も存在します。
では、自分の子どもにはどの選択肢が最適なのか、考えることが重要です。大人にとっての1年はあっという間に過ぎますが、子どもにとっての1年は非常に長く、大切な時間です。たとえば、中学1年生を2回繰り返すことはできませんので、選択は慎重に行わなければなりません。
本記事では、通信教育に焦点を当て、どのような生徒に通信教育が向いているのか、また逆に向いていないのかについて詳しく考察していきます。
通信教育とは
通信教育の歴史は非常に長く、実に50年以上にわたって存在してきました。
その基本的な形態は、定期的に教材が家庭に送られ、その教材を基に生徒が自ら学習を進めていくというものです。生徒が課題を解き、提出すると、添削された結果が返ってくるというサイクルを繰り返すことによって学力が向上していきます。
最近では、タブレット端末などのデジタル機器を活用した通信教育も増えており、教材が郵送されるのではなく、インターネットを通じて配信される形式のものも多く見られます。
通信教育のメリット
通信教育には、以下のような数多くのメリットが存在します。
・家庭で学習ができるため、塾に通う必要がない。
都市部に住んでいる場合でも、スポーツや芸術活動などで通塾する時間が取れない生徒が多数います。
さらに、近隣に塾がない場合や、夜道を帰ることが危険である場合、または送り迎えが難しいなどの理由から通塾が困難な生徒にとって、通信教育は非常に有用な選択肢となります。
・学習塾に比べて受講料がリーズナブルである。
学習塾には集団型や個別指導型など様々な形態がありますが、たとえば集団型の場合、1か月の受講料は約2万円程度かかることが一般的です。それに対して、通信教育は月額で1万円以下というケースがほとんどで、経済的にも非常に助かる存在です。
・教材のクオリティが高い。
いくら安価であっても、質の低い教材では意味がありませんが、通信教育の教材は多くの場合、よく作り込まれており、しっかりと学習すれば良い成果を上げられるように設計されていますので、安心して利用することができます。
通信教育のデメリット
通信教育は、”きちんと学習すれば”成果が出ることが期待されます。成果が出るのであれば、費用もそれほどかからず、デメリットが少ないように思えるかもしれません。
しかし、デメリットはどこにあるのでしょうか。
通信教育のデメリットは、“きちんと学習”することが生徒自身に任されている点です。
一般的な学習塾では、勉強をしていない生徒に対して先生が叱ったり注意をしたりしてくれます。しかし、通信教育ではそのような指導がないため、自己管理が求められます。また、中学生になると、親の言うことを素直に聞かなくなることも多く、特に難しい状況に陥りやすいです。
さらに、中学生になるまで学習習慣が身についていなかった生徒が、中学生になってから毎日計画的に勉強する習慣を身につけるのは容易ではありません。
この点において、塾や家庭教師の場合、時間が決まっているため、その時間帯に確実に勉強することができ、家庭学習指導を行ってくれる塾も存在します。
通信教育に向いている生徒
通信教育に向いている生徒は、自分で時間を管理できる生徒です。
具体的には、
・就寝時間や起床時間
・スマホ(ゲームやLINE、YouTubeなど)の使用時間
・学習時間の確保
これらの要素をしっかりと自分で管理できる生徒は、通信教育に適していると言えます。
自発的に学習時間を管理できるため、勉強に対する姿勢も非常に前向きです。そうした生徒が質の高い教材で学習し、自らの力を発揮して勉強に取り組むので、成績が向上しないはずがありません。通信教育に対して好意的な口コミを寄せているのは、こうした生徒の保護者が中心です。
通信教育に向いていない生徒
通信教育に向いていない生徒は、通信教育に向いている生徒以外のほとんど全てだと考えた方が良いでしょう。この割合は、実際にはこちらの方が多いと予測されます。
・家では全く勉強しない生徒。
・常にスマホをいじっている生徒、ゲームに夢中になっている生徒、YouTubeばかり見ている生徒。
・生活リズムが不規則な生徒。
このような生徒には通信教育は向いていません。
では、学習習慣がまだついていない中学生が通信教育を始めた場合、学習習慣が身につく可能性はあるのでしょうか。残念ながら、その確率は0%ではないものの、非常に低いと考えた方が良いでしょう。
実際に塾関係者に話を聞いてみると、子どもが塾を辞めたいと言い出した際、多くの生徒は自分から頑張ると言うそうです。しかし言った手前、辞めた初めは頑張るものの、その頑張りは長続きしないという生徒が大多数を占めているのです。最悪の場合、中学1年生で上位にいた生徒が、中学3年生になったときには目も当てられない成績まで落ちてしまうことも考えられます。
通信教育を選ぶ理由は様々ですが、家庭学習の習慣が身についていない生徒に対して通信教育講座を購入するのは避けるべきです。
経済的に見ても、通信教育は塾よりも安価であるとはいえ、添削を行わなければ無駄になってしまいます。市販の教材よりも高くつく可能性もあるため、注意が必要です。
まとめ
中学生向けの通信教育は、長い歴史があり、質の高い教材を提供しています。家庭学習の習慣がついている生徒であれば、効率的に学習を進め、成績の向上が期待できるでしょう。
しかし、家庭学習の習慣が全くない場合、それは宝の持ち腐れとなってしまいます。中学生に通信教育で学習習慣が身につくことを期待するのは危険です。
人生の長い旅の中ではそれも一つの経験かもしれませんが、高校入試を考慮すると、その時間の損失は非常にもったいないものです。より良い教育環境を整えてあげることが、今後の子どもたちにとって重要です。
コメント