あなたは普段、運動やトレーニングを行っていますか?
もし、日常的に体を動かしているのであれば、「BCAA」というサプリメントが気になっている、または既に利用している方も多いのではないでしょうか。
BCAAは、筋肉の疲労を緩和し、運動パフォーマンスを向上させる効果があると広く認識されています。
ネット通販サイトでは多くの商品が販売されており、ジュースのように飲みやすく、さまざまなフレーバーが選べるのも魅力的です。
しかしながら、BCAAには健康への悪影響を及ぼす成分が存在することをご存知でしょうか?
本記事では、以下の重要なポイントについて詳しく解説していきます。
- BCAAとは?成分と効果について
- BCAAに潜む危険性について
- 過去の被害事例は存在するのか?
BCAAの安全性について不安を抱いている方や、長期間にわたり使用している方には、ぜひお読みいただきたい内容となっております。
それでは、さっそく本題に入っていきましょう。
BCAAとは
BCAAとは、3つの必須アミノ酸「バリン・ロイシン・イソロイシン」を指します。
栄養素の基本的な構成要素は、以下の5大栄養素によって成り立っています。
- タンパク質
- 脂質
- 糖質
- ビタミン
- ミネラル
その中でも「タンパク質」は運動にとって非常に重要な栄養素であり、持久力や全体的なパフォーマンスに大きな影響を与えます。
私たちの体の筋肉や骨、皮膚、そして髪の毛も、基本的にはタンパク質から構成されています。
タンパク質は20種類のアミノ酸から成り立ち、その中で食事からしか摂取できない9種類のアミノ酸は「必須アミノ酸」と呼ばれています。
BCAAはこの必須アミノ酸の中から「バリン・ロイシン・イソロイシン」を含む、アスリートにとって極めて重要な栄養素であることが分かります。
【危険①】BCAAは内臓に負担をかける可能性がある!?
BCAAは主に筋肉で代謝されるため、内臓への負担は少ないと一般的には言われていますが、長期間にわたって摂取することで、肝臓や腎臓に負担をかける可能性があるため、過剰摂取には十分な注意が必要です。
内臓疲労について
摂取したタンパク質は体内で分解と合成を繰り返し行われます。
この分解・合成過程で余剰となったタンパク質は「窒素」に変換されます。
さらに、不要な窒素は「アンモニア」として変化します。
体にとって有害なアンモニアは、肝臓で無毒化され「尿素」に変換され、最終的に腎臓で尿として排出される仕組みになっています。
つまり、タンパク質を過剰に摂取すると、その分だけ多くの「窒素」を「尿素」に変換する必要が生じるのです。
このような長期にわたる代謝が肝臓や腎臓にかかる負担を増大させ、結果として内臓疲労を引き起こすリスクがあるのです。
尿管結石のリスク
尿管結石と言えば「カルシウム」が重要な要因として知られています。
一見するとタンパク質とは関係がないように思われますが、実は尿管結石の原因の一つとなることがあります。
尿管結石を引き起こす原因となるタンパク質は「動物性タンパク質」です。
動物性タンパク質を多く摂取すると、「シュウ酸」や「尿酸」といった物質が体内に増加します。
中でもシュウ酸はカルシウムと密接な関係を持っています。
シュウ酸はカルシウムと結びつきやすく、食事から摂取されたものは腸内でカルシウムと結合して便として排泄されます。
腸内で吸収されなかったシュウ酸は尿として体外に排出され、その際に尿中のカルシウムと結びつくことで石のような塊を形成し、尿管結石となるのです。
【危険②】BCAAに含まれる「ロイシン」が腎障害を引き起こす可能性がある!?
BCAAは筋肉で代謝される際に、
- ロイシン
- イソロイシン
- バリン
の順に合成されると言われています。
BCAAに含まれる必須アミノ酸のうち、50%は「ロイシン」によって占められています。
ロイシンは過剰摂取により、特に腎機能に悪影響を及ぼす可能性があるとされています。
考えられる悪影響は以下の通りです。
- インスリン抵抗性:インスリンに対する感受性が低下し、効果的に機能しなくなる状態
- 免疫力の低下:アミノ酸バランスが崩れ、免疫力に関与するグルタミンの濃度が低下する
- 高窒素血症:体内の解毒機能が低下し、全身の機能に障害をもたらす疾患
ロイシンの摂取に関する臨床試験では、腎機能に対する明確な悪影響は確認されていません。
したがって、現在のところ摂取の上限は設定されていないのが実情です。
しかし、臨床試験にはさまざまな課題があり、代謝異常が発生するリスクは十分に考慮する必要があるため、過剰摂取には特に注意が必要です。
ロイシンに関する危険情報
ロイシンについて、危険情報が記載されている研究結果があるため、以下に紹介します。
<一般>
・短期間で適切に使用すれば、安全性が示唆されています。
・分岐鎖アミノ酸は、有害事象として高血圧、皮膚炎、消化不良、胃腸障害を引き起こす可能性があります。<妊婦・授乳婦>
・妊娠中や授乳中の安全性については十分なデータがないため、サプリメントとしての使用を避けるべきです。<小児>
・短期間で適切に使用すれば、安全性が示唆されています。<病者>
・メープルシロップ尿症(分岐鎖アミノ酸が代謝されない先天的な異常)の患者は、血中の分岐鎖アミノ酸濃度が高くなるため、分岐鎖アミノ酸の摂取量が増加すると痙攣や身体的・精神的発育の遅れが起こることがあります。
・筋萎縮性側索硬化症の患者では、分岐鎖アミノ酸の摂取によって肺機能不全による死亡率の増加が疑われています。
・慢性アルコール中毒患者による分岐鎖アミノ酸の摂取は、肝性脳症と関連している可能性があります。
・分岐鎖アミノ酸は血糖に影響を与える可能性があるため、外科的手術の2週間前には摂取を中止した方が良いとされています。<その他>
・突発性低血糖の乳児において、低血糖を誘発する可能性があります。<被害事例>
・17歳の男性(トルコ)が、筋力アップのために分岐鎖アミノ酸サプリメントを摂取した際(摂取量不明)、30分後に胸痛、蕁麻疹、顔面の発疹、動悸を呈し、アレルギー反応によるKounis症候群I型と診断され、治療により改善しました。
ロイシンの1日摂取目安量
ロイシンの過剰摂取による危険性について触れましたが、実はロイシンには1日の摂取目安が設定されています。
これは、ロイシンが不足した場合にも体にさまざまな悪影響を及ぼす可能性があるからです。
ロイシンが不足すると、具体的には以下のような状態に陥ることがあります。
ロイシンには血糖値を下げる「インスリン」の分泌を促す作用もあるため、不足も過剰摂取もどちらも問題となるのです。
ロイシンの1日当たりの摂取目安量は以下の通りです。
年齢 | 0.5 | 1~2 | 3~10 | 11~14 | 15~17 | 18~ |
1日目安量(mg/kg) | 73 | 54 | 44 | 44 | 42 | 39 |
出典:日本人の食事摂取基準(2020年版)|「日本人の食事摂取基準」策定検討会
つまり、18歳以上で体重が60㎏の人の場合、1日に必要なロイシンの量は2,340mgということになります。
【危険③】人工甘味料「スクラロース」のリスク
BCAAやプロテイン製品には多くの場合、「スクラロース」という人工甘味料が含まれています。
スクラロースは1976年にイギリスで発見された砂糖由来の低カロリー甘味料で、その甘さは砂糖の約600倍とも言われていますが、体内で分解されないため血糖値には影響を与えないとされています。
しかし、スクラロースは食品添加物として認められている唯一の「有機塩素化合物」です。
有機塩素化合物には、「農薬」や「ダイオキシン」などが含まれており、つまり、スクラロースは農薬と同じ分類に属するということになります。
EUの食品科学委員会によって、スクラロースの1日の摂取上限は15mg/kgと設定されています。
さらに、138℃以上に加熱すると、有害な塩素ガスが発生することも確認されています。
安全性が確認されているとはいえ、スクラロースに関連する健康リスクに対する不安はぬぐい去ることができません。
まとめ
BCAAには潜む危険性についてお話ししました。
要点を以下にまとめます。
- BCAAの長期的かつ過剰な摂取は、肝臓や腎臓に深刻な障害を引き起こす可能性がある。
- 海外ではロイシンなどの分岐鎖アミノ酸による被害事例も存在するため、危険性を理解することが重要。
- 人工甘味料「スクラロース」は農薬と同じ仲間で、加熱すると有毒ガスが発生する。
危険性を理解することも大切ですが、BCAAは体にとって必要不可欠な栄養素を含んでいます。
栄養素の特性や健康への影響をしっかり把握した上で、適切な量を守りつつ賢く活用することが求められます。
最後までお読みいただき、心より感謝申し上げます。
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