郊外で一戸建てのマイホームを手に入れる人が増加しています。都会の高層マンションも洗練されていて憧れの存在ですが、庭付きの一戸建てには独自の魅力があります。休日に庭でバーベキューを楽しんだり、子供たちを遊ばせたりする光景は、まさに夢のようです。
そのため、多くの人が手に入れた庭に「何か木でも植えてみようかな」と考えるのも自然な流れです。やはり、シンボルツリー的な存在があると、庭全体が落ち着いた雰囲気になりますし、開花や落葉を通じて季節の移り変わりを身近に感じたいと思うものです。
確かに、庭に樹木を植えることは、十分に考慮する価値があります。
庭に植える木は、果たして購入して良いものなのでしょうか?それとも、購入しない方が良いのでしょうか?
大きくなりすぎる木には気を付けよう
庭木の選定にあたっては、庭のサイズが大きく影響します。要するに、「植えて良い木のサイズは庭の広さに比例する」ということです。
しかし、「植えて良い木のサイズ」とは、「植えた時のサイズ」ではなく、「成長したときのサイズ」を考慮しなければなりません。これを無視すると、後になって大変なことになりかねません。
樹木は意外に成長が早いもので、特に春から夏にかけて、その枝は驚くほど伸びます。「なんだか枝が繁ってきたな」と感じる頃には、実は幹も含めて数回りも大きくなってしまっていることが多いのです。
数年で2階の高さに達し、あっという間に屋根を越えてしまう木も、珍しくはありません。
広い庭を持っているのであれば問題ありませんが、そうでない場合には大きく成長する木を購入することは避けるべきです。
庭木が大きくなりすぎて困ること
庭に植えた樹木が予想以上に成長すると、さまざまな問題が引き起こされます。
隣家へはみ出してしまう
多くの樹木は、上方に伸びるだけでなく、横にも成長します。もし枝が隣家にはみ出してしまうと、確実にご近所トラブルに発展します。
そうなる前に、枝を切る必要がありますが、次々とはみ出してくる枝を手入れするのは手間がかかります。最終的には、隣家側の枝を根元から全て切り落とさなければならないこともあるでしょう。
さらに、木が成長することで高い枝には手が届かなくなります。そのため、高枝ばさみを使ったり、植木職人に頼んだりする必要が生じてきます。
庭木を植える際には、塀のぎりぎりに植えず、隣家との適切な距離を保って植えることが重要です。
落ち葉や選定した枝の廃棄が大変
庭で焚火をしても良い環境にいる方は少ないでしょう。隣の家から何百メートルも離れた場所に建っている家でなければ、焚火から出る煙や匂いが迷惑になる可能性があります。
したがって、成長した木から落ちる大量の落ち葉や選定した枝は、燃えるごみとして処分してもらう必要があります。
ごみとして出す際には、長い枝は短く切って束ねなければなりませんし、細かい枝や葉はゴミ袋に詰める手間がかかります。
庭木の手入れは、休日の優雅な過ごし方だと思われがちですが、実際には木の大きさによってはかなりの重労働になることもあります。
日照への影響
最初は1階のリビングから見下ろせる程度の高さだった木が、成長を放置しておくと、あっという間に小屋根を覆うほどの大きさになることがあります。そうなると、家の向きによっては部屋の中に日光が入らなくなってしまいます。
また、成長しすぎた庭木が日陰を作り、意図せず洗濯物干しの妨げになることもあります。自分の家だけでなく、近隣の住居の日照を妨げるリスクも考慮しなければなりません。
庭木を植える際には、太陽の方向をしっかり考慮することが大切です。
虫や鳥による害
木には、どうしても虫や鳥が集まってきます。虫が苦手な方にとっては、それだけでも植樹をためらう理由になるかもしれません。それほどでもない方でも、木に寄ってくる虫の中には毛虫などの害虫もいるため、注意が必要です。
鳥に関しては、庭でバードウォッチングを楽しむのは良いことのように思えるかもしれませんが、特定の鳥はフンを落とし、庭や停めている車を汚してしまうこともあります。
中高木の庭木には、鳥が巣を作ることもあり、糞害がひどくなると近隣トラブルに発展することもあります。最近では、シマトネリコという木に樹液を求めてカブトムシが大量に集まる現象が各地で見られています。
カブトムシが集まるのは嬉しいことのように思えますが、シマトネリコに集まったカブトムシは昼夜を問わず飛び回り、家の壁に「ガン」と大きな音を立ててぶつかることもあります。これは驚くべきことで、心臓に悪いですし、夜間には睡眠を妨げられることもあります。
また、カブトムシを狙ってカラスも集まるため、カラスが捕まえたカブトムシの死骸が庭に転がるのも決して快い光景ではありません。カラスが集まる庭というのは、あまり良い印象を持たれません。
広くない庭では中高木の植樹を避けよう
「よし、分かった。しっかり調査して、大きく成長する木は買わないようにしよう」と考えた方もいるでしょう。
実際に、木がどのぐらい成長するのかは、植木屋さんに尋ねたり、インターネットや図鑑で調べたりすることをお勧めします。庭が狭い場合は、中高木を植えることは避けることが望ましいです。
調査を怠って放置していると、意外にも巨大化する木がありますので、その点も注意が必要です。
例えば、果物の「ビワ」。ビワの種は比較的発芽しやすく、もちろん地域や季節によって異なりますが、庭に放り出した種から信じられないほど成長することがあります。
クリスマスの飾りに使われるモミの木も、庭に植えると巨大化することがあります。最初は「クリスマスツリーが成長している」と喜んでいても、数年後には手に余ることになります。
あまりに大きくなった木は、最終的には伐採するしかありません。狭い庭でうっかり伐採すると、家や隣家に被害が及ぶ恐れもあります。業者に依頼して重機を使う場合、その費用も高額になることが少なくありません。
庭木は無計画に植えず、種類や植える場所を慎重に検討することが重要です。
まとめ
この記事はここで終了します。
庭木は、大きく育ちすぎると手入れが非常に難しくなります。また、ご近所とのトラブルの原因にもなりかねません。庭が狭い場合には、成長しすぎる木は決して購入しない方が良いでしょう。
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