グルコサミン・コンドロイチンなど買ってはいけない関節痛の健康食品

膝の関節痛に苦しむ変形性膝関節症の患者は、日本国内でなんと1000万人にも上ると言われています。その中には潜在的な患者も含めると、なんと3000万人に達する可能性があるのです。この痛みは、日常生活に大きな影響を及ぼす非常につらいものです。

変形性膝関節症は、膝の関節部分に存在する軟骨が摩耗し、骨同士が接触して痛みを引き起こす状態です。この疾患の原因としては、加齢や筋肉量の減少のほか、激しい運動や転倒といった外的要因も考えられます。

このような症状を軽減する可能性があるとされるグルコサミンやコンドロイチンといった健康食品やサプリメントは、最近多く見かけるようになりましたが、実際にどの程度の効果があるのでしょうか?

痛みへの働きかけ

いくつかの研究において、グルコサミンまたはコンドロイチンが関節の構造に対して有益な効果をもたらすかどうかが検証されました。全ての研究が同じ結果を示したわけではありませんが、一部の研究ではコンドロイチンに対して有用性の証拠が示されていることが確認されました。しかし、その改善はごくわずかで、患者にとって実質的な変化をもたらすほどではありませんでした。一方で、グルコサミンに関しては、関節の構造に良い影響を及ぼすことを示す証拠はほとんど存在しません。

厚生労働省『「統合医療」に係る 情報発信等推進事業』より

このような研究結果から導き出される結論は、グルコサミンやコンドロイチンを含むサプリメントや健康食品を摂取しても、すり減った軟骨が再生したり、痛みが完全になくなったりすることはないということです。そのため、痛みを少しでも和らげようとサプリメントや健康食品に頼っても、実際には意味がないということになります。

ただし、ヒアルロン酸を膝に直接注射するという治療法は、関節にダイレクトに注入されるため、痛みを和らげる効果が期待できるとされています。

サプリメントや健康食品の効果の実感

「非常にある」⇒6.0%
「やや効果あり」⇒38.4%
「わからない」⇒37.5%

このように、効果を実感している人はそれほど多くはないものの、何らかのサプリメントや健康食品を利用している人は多いと思われます。
変形性膝関節症の治療法
  1. 運動で筋肉を鍛える。
  2. 湿布・軟膏・内服薬などを用いる。
  3. ヒアルロン酸ナトリウムを関節に直接注射する。
  4. 元の骨や関節を残して矯正し、傷んだ軟骨を移植片で修復する(軽度の変形や若年層に適しています)。
  5. 変形した関節を人工関節に置き換える(重度の変形に対して効果が大きいが、人工関節の耐用年数は約15~20年です)。

グルコサミンとは

グルコサミンは、カニやエビなどの甲殻類の殻の部分に自然に含まれている成分です。サプリメントは、これらの素材を粉砕し、酵素で分解してグルコサミンを取り出して作られます。関節の動きをスムーズにし、痛みを改善する効果があるとされています。

コンドロイチンとは

コンドロイチンは、もともと人間の体の特に関節の軟骨に豊富に存在しますが、加齢と共にその生成能力が低下します。中高年になると、必要な量の20分の1程度しか作られなくなります。このコンドロイチンが不足すると、軟骨は弾力性や保水性を失い、その結果、関節の軟骨がすり減って関節痛や腰痛、五十肩といった問題を引き起こすことがあります。また、肌のハリや弾力も失われ、しわができる原因となることもあります。コンドロイチンが含まれるサプリメントには、サメや牛の軟骨部分が使用されています。

サプリ市場

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平成17年頃から関節痛対策のサプリメント市場が成長を続けており、サントリーは100億円の売上を記録しました。平成24年には市場売上が400億円に達しました。令和元年には成長が安定し、需要も落ち着いています。

サプリ市場の売上

1位⇒美肌・肌ケア
2位⇒健康維持・増進
3位⇒目の健康

サプリメントや健康食品の市場は、高齢化社会の進展とともにますます成長を遂げています。高齢化に伴い、健康を保つためのアンチエイジングを求める人々が増えていることが一因と考えられます。医薬品と比べ、食品の一部として位置付けられるサプリメントや健康食品は、期待される効果があると考えられています。高齢者の増加により、膝関節症の患者も今後さらに増えることが予想されます。

変形性膝関節症の患者は、軽症から重症までさまざまな状態にあると思われます。しかし、痛みと闘いながら日々を過ごすためには、痛みを軽減することが不可欠です。この点が、美容やアンチエイジングを目的としたサプリや健康食品を購入する方々との大きな違いであると考えられます。

痛みへの効果はある?


サプリメントや健康食品が痛みを完全に解消することはないとの報告がありますが、その一方で、痛みに対して効果がある可能性も存在するようです。

「プラセボ効果」

効果がないはずの薬でも、暗示によって効くと信じ込むことで病気が改善されることがあります。

「ホーソン効果」

治療を受ける患者が信頼する医師からの期待を感じることで、心理的な影響を受けて良い結果が得られる効果のことです。

これらの二つの現象に関連して、「病は気から」という言葉があります。

病気は気持ちの持ちようによって改善したり悪化したりすることがあります。精神的なストレスがかかると脳内で炎症が起こり、ストレスが高まると免疫機能が低下し、病気にかかりやすくなるのです。
気分を落ち込ませず、ポジティブな気持ちを保つことができれば、病気にもなりにくいでしょう。心を明るく保つことが大切です。
サプリメントや健康食品を摂取することで、痛みに対してポジティブにアプローチし克服していくことができるかもしれません。前向きな気持ちが効果を生むことがあるのです。
ただし、注意が必要な点もあります。
サプリメントや健康食品に頼りすぎることで、病院での治療を受けるタイミングを逃してしまうかもしれません。また、効果を期待して多くのサプリメントを購入することで、家計に負担がかかることも考えられます。さらに、過度に頼りすぎて依存してしまう危険性もあります。
鉄分や亜鉛、ビタミンなどのサプリメントは、鉄不足や亜鉛不足、ストレスが多い人が摂取することで実際に効果があることが知られています。

まとめ

グルコサミンやコンドロイチンを含むサプリメントや健康食品を摂取することで、痛みを完全に取り除くことは難しいようです。しかし、サプリメントや健康食品を摂ることで得られる安心感や期待感は、日々の生活に良い影響を及ぼす可能性があります。今感じている痛みが少しでも軽減されるのであれば、サプリメントや健康食品を購入し、継続して摂取することには意味があると言えるでしょう。

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