ミシン糸が不足してしまった時に、近くの100均で購入しようと考えたことはありませんか?
インターネットで検索をすると、たびたび「100均の糸を買ってはいけない」や「100均の糸をミシンには使用しない方がいい」といった情報が目に入ります。
手軽に手に入る便利さがありますが、果たして本当に購入を避けるべきなのでしょうか。
100均のミシン糸にはどのような種類が存在するのか
100均で扱われているミシン糸の具体的な例としては、以下のような商品があります。
- 単色糸(黒や白など)2個セット…150m巻
- ポリエステル製のミシン糸(白・黒・生成・その他の色)1個…50番手200m巻
- スパンミシン糸(白・黒・生成・その他の色)1個…60番手200m巻
- 透明ミシン糸1個…60番手600m巻
なぜメーカー品が好まれるのか
価格的には非常にお得に感じられる100均のミシン糸ですが、手芸を愛する多くの方々はメーカー品を選ぶ傾向があるようです。
中には、100均のミシン糸の中に大手メーカーの廃盤品が含まれていることもあり、実際にお得に手に入れたという声も聞かれました。
では、なぜメーカー品が選ばれるのか、その理由を考えてみましょう。
糸の切れやすさ
100均のミシン糸は、一般的な定番品と比較して強度が低く、糸が切れやすい場合が見受けられます。
縫い目が毛羽立って目立つこともありますし、せっかく縫ったにもかかわらず、糸が細くなっている部分がほどけて切れてしまうこともあるようです。
ミシンに糸を掛けたり、ボビンに下糸を巻き付けたりする際に、ミシンの部品に引っかかって糸が切れるというトラブルも発生しやすいです。
糸の調整をしようとしても、糸が絡まって正しく縫えないこともあります。
このような問題は、時にはミシンの故障を引き起こしたり、部品を傷めたりすることにもつながる可能性があります。
作業を開始する前にこのようなトラブルに見舞われてしまうと、気持ちが萎えてしまいますね。
メーカーにはお得なミシン糸が存在する
手芸店で販売されているメーカーのミシン糸(200m 60番手)は、1個あたり約253円です。
200mの長さのミシン糸を考慮すると、100均の方が一見お得に思えますが、メーカー品を選ぶ方が多いのです。
白、オフホワイト、生成、グレー、ネイビー、黒などの定番のミシン糸に関しては、700mのお得用ミシン糸が524円で販売されています。
縫い目が表に出ないのであれば、定番の糸だけで十分間に合う場合があります。
トラブルが起きなければ、多少価格が高くても手芸店のミシン糸を選ぶ方が多いのも理解できます。
透明ミシン糸は通常のミシン糸とは異なる
100均で販売されている透明ミシン糸は、生地の色を選ばないため便利だと思われがちです。
しかし、このミシン糸の素材はナイロンであり、家庭用のミシンで縫おうとすると滑って縫い目が飛んでしまうことがあります。
透明だからといって、光の当たり具合によって縫い目が目立ってしまうこともあり、使用が難しいことがあります。
また、テグスのように硬さがあるため、家庭での取り扱いにはコツが必要です。
特に衣服を縫う際には、その硬さが影響して着心地が悪くなることがあります。
敏感肌の方の場合は、肌に触れることでチクチクすることも考えられます。
100均のミシン糸の活用方法
安価で生地に合った色が豊富に揃っているため、100均でミシン糸をたくさん購入してしまった方もいるかもしれません。
それでは、どうにかして使い切る方法はあるのでしょうか。
しつけ糸としての利用
しつけ糸というのは、仮縫いや本縫いを行う際に、布同士をきれいに整えるために使用される糸です。
服にギャザーを寄せたり、ミシンでうまく縫い合わせるための下縫いをする時に使われることが多いです。
滑りが良く、すぐに生地から抜きやすい糸が望ましいとされます。
100均のミシン糸は細くて切れやすい特性を持っているため、しつけ糸として使用する方が多いです。
特に、繊維がほぐれやすい透明なミシン糸をしつけ糸の代わりに使うと、後が残りにくくて便利です。
手縫い糸としての活用
巾着袋や雑巾、ブックカバー、ディッシュカバーなどの小物を手縫いで作る際に利用する人もいます。
裁縫初心者が運針の練習をするために使ったり、自分用のアイテムを縫うために使うケースもあります。
ただし、手縫い糸として使用する際に注意が必要な点があります。
ミシン糸は左撚り(左方向にねじれている)の一方、手縫い糸は右撚り(右方向にねじれている)です。
撚りが逆方向であるため、右利きの方が手縫いでミシン糸を使うと、糸がもつれてしまうことがあります。
縫っている間に糸の状態に違和感を感じた場合は、途中で糸のもつれを解消しながら作業を続けると良いでしょう。
まとめ
残念ながら、100均のミシン糸はミシンでの本格的な縫製には向いていないようです。
大切な人へのプレゼントを作るよりも、自分用の普段使いのアイテムを作る際に利用する方が良さそうです。
手縫いやしつけ糸の代わりとして使うことも可能ですが、撚りの方向に注意しつつ、途中で糸をほぐしながら縫うことを心がけると良いでしょう。
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