お味噌汁は、日常的に私たちの食卓に登場し、毎日の食事の時間を和らげてくれる存在です。また、「味噌は医者いらず」「味噌汁は朝の毒消し」「味噌汁一杯三里の力」といった言葉が示すように、古くから味噌の持つ力の素晴らしさが知られています。現在においても、和食の調味料としては欠かせないものとなっています。スーパーに行くと、さまざまな種類のお味噌が並び、どれを選べば良いのか迷ってしまうことも多いでしょう。価格帯も幅広く、原材料によって味噌の種類は多岐にわたります。豆味噌、麦味噌、米味噌といった基本的なものから、出汁入り味噌という便利な選択肢も存在します。
忙しい現代社会に生きる私たちは、手軽に味噌汁を作ることができる安価な商品に手を伸ばしがちですが、ここで注意が必要です。「お手軽」「安価」なものには、必ず理由があります。
「本当のお味噌とは何か?」という観点から、購入を避けるべきお味噌について詳しく解説したいと思います。
味噌とは
味噌は、大豆や米、麦などの穀物を蒸したものに、塩と麹を加えて発酵させることで作られる発酵食品です。味噌は調味料の一種と捉えることもできます。主な種類には以下のものがあります。
- 米味噌:米麹を使用して発酵させたものです。
- 麦味噌:麦麹を利用して発酵させたものです。
- 豆味噌:豆と麹菌を用いて発酵させたものです。
味噌の醸造方法とは
味噌の製造方法は、大きく二つに分類されます。「天然醸造」と「速醸法」です。
- 天然醸造:寒い冬に仕込まれた味噌を、じっくりと1年間寝かせる方法です。この1年の間には四季があり、冬から春にかけては低温で時間をかけて分解が進みます。そして夏に向けて気温が上昇すると、発酵が徐々に進行します。秋から冬にかけてさらに熟成させることで、旨味が凝縮された味噌が出来上がります。中には2年、3年と熟成させた味噌もあります。
- 速醸法:仕込んだ味噌を人為的に1〜2ヶ月加温することで、短期間で分解発酵を行います。その後、約1ヶ月ほど冷やして味噌に仕上げる方法です。本来、味噌は1年以上熟成させる必要があるものを、2〜3ヶ月で完成させることができるため、大量生産が可能であり、生産コストも大きく削減できるのが特徴です。
買うべきではない味噌とは
上記の味噌の原材料や製造方法を考慮すると、明らかにわかることがあります。味噌は大豆、塩、麹を主成分として、約1年間という長い時間を経て発酵させて作られるものです。
したがって、それ以外の成分が原材料に含まれている味噌は、本来の味噌とは言えません。つまり、それは多くの添加物を含む調味料ということになります。
例えば、便利で手軽に使える「出汁入り味噌」の原材料表示を見てみましょう。
添加物が多い味噌とは
あるメーカーの「出汁入り味噌」の原材料名は以下の通りです。
【原材料名】大豆、米、食塩、かつおエキス、昆布エキス、酒精、調味料(アミノ酸等)
ここには、発酵に必要な麹が含まれていません。また、本来の味噌には不要な成分であるかつおエキスや昆布エキス、酒精、調味料が含まれています。つまり、味噌に不可欠な麹が含まれていないということは、もはや本来の味噌とは言えません。
では、本来の味噌には必要のない成分についても詳しく見てみましょう。
かつおエキス、昆布エキス
エキスとは、物質を抽出したもので、アルコール反応や酵素反応など様々な手法を用いて、かつおや昆布から旨味を抽出したものです。かつおや昆布以外の抽出物が混じっている可能性もあり、表示義務がないため、消費者にはその内容がわかりにくいのが実情です。
酒精
これは発酵アルコールを指し、醸造用エチルアルコールと同様、食品添加物として扱われています。味噌に含まれる理由は、発酵過程で二酸化炭素が発生し、それにより容器が膨らむのを防ぐために酒精が加えられるためです。結果として、発酵を止めてしまう効果があります。
調味料(アミノ酸等)
主にアミノ酸を含む食品添加物で、化学的に合成された「グルタミン酸ナトリウム」に相当します。これはいわゆる旨味成分です。アミノ酸等という表記は、グルタミン酸ナトリウム以外の様々な添加物が含まれていることを示唆しています。加熱すると発がん性があると言われていますが、加工食品の原材料名では、このアミノ酸等がほとんどに使用されています。
調味料の危険性については、疑問が多いのではないでしょうか。使用基準が定められておらず、生涯にわたって摂取しても健康に危険がないとされる1日あたりの摂取許容量(ADI)の基準も設けられていません。即座に健康被害が出ることはなくても、生涯にわたる摂取が本当に無害であるかどうかは、はっきりとはわからないのです。
買うべき味噌とは
これまでの説明から、何が本来の味噌かが理解できたかと思います。最も重要なのは、シンプルな原材料から製造された本物の味噌を選ぶことです。味噌を選ぶ際のポイントは以下の通りです。
・大豆、塩、麹などのシンプルな素材で作られている味噌
(以下は豆味噌の原材料表記です。)
・酒精などのアルコール分が含まれていない味噌
・添加物が一切含まれていない味噌
・味噌の発酵が進んでも問題ないように、容器に呼吸口が付いている味噌
・熟成年数が明記されている味噌
私の住んでいる町は、味噌の名産地で、近所には歴史あるお味噌屋さんがあります。私の家では、ここで購入することが多く、特に3年熟成の味噌を楽しんでいます。通販も行っており、便利です。
市販の味噌に比べると少し価格は高めですが、毎日のように口にするものだからこそ、添加物がたくさん含まれているものよりも、安心して体に取り入れられるものを選ぶように心がけています。
まとめ
毎日私たちの食卓に欠かせないお味噌汁。味噌汁には、がんやコレステロール値の抑制など、さまざまな病気の予防効果があるとも言われており、非常に優れた料理です。せっかくですので、ぜひ良い味噌を選んでみてはいかがでしょうか。まとめとしては以下の点が挙げられます。
・選ぶべきポイントは原材料がシンプルなもの(大豆、塩、麹)であること。
・添加物が含まれているものはできるだけ避けること。
味噌を選ぶ際、皆さんの参考になれば幸いです。
コメント
発酵に必要な麹が入っておりません。また本来の味噌には不要な、かつおエキス、昆布エキス、酒精、調味料が入っております。
味噌に欠かせない麹が入っていないという事は、本来の味噌ではありません。
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原材料部分の“米”が米麹を指します。
ただの米を味噌づくりに使うという事は発酵の原理からしても考えられないです。
誤った知識で発信されるのは非常に残念です。
わたし自身みそ業界に勤めていますが、多くの場合“米”と記載しているはずです。
一度原材料表示をご覧になり、“米”と書いてある味噌屋に問い合わせてみてください。