
部屋に置くだけで一気にインテリアの印象を高めることができる薪ストーブ。薪ストーブに囲まれてじんわりと暖まったり、そこにある温かみを感じながら料理を楽しんだりと、そうした光景を思い描いたことがある方も多いのではないでしょうか。
最近では、燃料として使用する薪のコストパフォーマンスの良さから、ますますその人気が高まっています。
しかし、実際に周囲に薪ストーブを使用している人がいない場合、導入には躊躇してしまうこともあります。せっかく高額なお金を投資したのに、使用することなくただの飾りになってしまうのは非常にもったいないですよね。
そこで、今回は薪ストーブの魅力を引き出すために、メリットとデメリットについて詳しくご紹介します。
薪ストーブのメリットとは?
薪ストーブはテレビやメディアでよく目にするものですが、実際にはどのような暖房器具であるのか、詳しく知らない方も少なくありません。
どのような仕組みで暖かくなるのか、また他の暖房器具と比較してどのような利点があるのか、ここでしっかりとご紹介していきましょう。
薪ストーブとは、鋳鉄または鋼板で作られた密閉型の箱状本体の中で薪を燃焼させる暖房器具のことを指します。見た目は暖炉と似ていますが、薪ストーブは必要な空気の供給量を制限し、過燃焼を防ぐように設計されているため、薪の持ちが良いという特長があります。
さらに、燃焼時に放出される二酸化炭素は樹木に吸収されるため、環境への配慮もなされている点が大きなメリットと言えるでしょう。
さらに、薪ストーブには未燃焼のガスを追加で燃焼させる機能である二次燃焼機能が搭載されています。この機能によって、煙突から排出される煤などの量ができる限り少なくなり、より環境に優しい製品へと進化しています。
薪ストーブの排気は煙突からのみ行われるため、室内の空気が汚れることはなく、加えて家の中での結露も発生しにくくなるという利点があります。
薪ストーブは、燃料として使用する薪だけで通常の暖房器具よりも部屋をしっかりと暖めることができますが、その仕組みはどのようなものなのでしょうか。
薪は、乾燥した木材1kgあたり約20MJの熱エネルギーを蓄えています。この薪を薪ストーブで燃焼させると、20MJのほぼ全てが熱に変換され、煙突からは温かい空気と共に2〜3割程度の熱が逃げていくのです。
室内の暖房では、乾燥木材1kgあたり約4kWhの熱エネルギーが使用されます。つまり、薪ストーブで1時間に1kgの薪を燃やすと、約4,000ワット(W)の熱出力が得られ、2時間で約8,000Wの熱が得られるという計算になります。これは、家庭用の暖房器具としては非常に高い熱量と言えるでしょう。
薪ストーブとは?3つのタイプ
薪ストーブには、大きく分けて3つのタイプがありますが、一般的には対流式と輻射式の両方の特長を兼ね備えたタイプが多く利用されています。
したがって、使用したい目的、例えばおしゃれなインテリアにしたいのか、ストーブの熱を利用して料理も楽しみたいのか、そういった各々の目的に応じて種類を選ぶことが重要です。
これから、薪ストーブの3つの種類、開放式・対流式・輻射式について、それぞれのメリットとデメリットを詳しく説明していきます。
開放式薪ストーブは、使用頻度は少ないですが、ドア(窓)がなく、薪が燃えている様子を直接見ることができるタイプです。
そのレトロな見た目は、おしゃれなインテリアとして人気を集めています。
ただし、デメリットとしては、空気が煙突に流れやすく、燃焼効率があまり良くないこと、また煙突の長さも他のタイプに比べて長く必要になる点が挙げられます。
さらに、一次燃焼のため、クリーンな煙が排出されないという問題も存在します。
対流式薪ストーブは、燃焼室の周囲が二重構造になっており、その中を通る空気を熱で温める仕組みです。本体には熱を放出するための穴があり、そこから部屋を暖める熱を供給します。
特に広い部屋全体を暖めることに優れていますが、デメリットとしては暖まるのに少し時間がかかること、さらに天板にポットなどを置いて料理することができない点があります。
薪ストーブの中で最も一般的なタイプが輻射式です。
薪を燃やすことで薪ストーブ本体が温まり、その熱を蓄えた本体が遠赤外線を放出して部屋を暖めます。
ストーブ本体が温まるのが対流式よりも早く、さらに天板が高温になるため、ポットや鍋を置いて料理をすることも可能です。
一方でデメリットとして、本体が非常に高温になるため、触れると火傷の危険があること、またストーブ周辺は暖かくなるものの、広い範囲を効率よく暖めるのは難しいという点があります。
薪ストーブのデメリットとは?
冬の寒さをしのぎ、暖かく過ごせる薪ストーブは、暖房費用の節約にもつながりますが、もちろんデメリットも存在します。
特に大きな課題となるのが薪の準備です。薪を購入するのか、自分で薪割りを行うのか、この薪を手に入れるための費用や労力についてもしっかりと考慮する必要があります。
さらに、煙突のメンテナンスも必要となるため、通常の暖房器具に比べて手間がかかることをあらかじめ理解しておくことが大切です。
薪ストーブ本体の購入にはそれなりの費用がかかりますが、煙突の設置に必要な費用を加味すると、全体で100万円を超える場合も多くあります。
薪ストーブのデメリットの一つとして、薪の準備が挙げられます。山奥で薪用の木が簡単に手に入る環境であれば問題ありませんが、無料で薪を手に入れるのは意外と難しいものです。
ホームセンターなどでの購入を考えると、コストがかさむことがあります。
原木が手に入った場合でも、自分で薪を割る作業が求められます。薪割りは思った以上に体力を消耗しますので、継続して行うことができるかどうかが一つの課題となるでしょう。
当然のことながら、薪ストーブには定期的なメンテナンスが欠かせません。ストーブ本体だけでなく煙突の管理も必要となりますが、自分で行うのは難しいため、業者に依頼することが多くなります。通常の暖房機器と比較して、手間がかかることを考慮に入れておく必要があります。
まとめ:薪ストーブは暖かいけれど、けっこう手間がかかる…
薪ストーブとは、鋳鉄や鋼板で作られた密閉型の箱状の本体内で薪を燃焼させる暖房器具です。
必要な空気の量を適切に調整することで、暖炉よりも薪が長持ちし、家庭用暖房器具としては最大級の熱量を誇ります。
燃料として用いる薪は、石油などの地下資源とは異なり枯渇することがないため、持続可能なエネルギー源の一つと考えられます。また燃焼時に放出される二酸化炭素は植物に吸収されるため、環境にも優しいという大きなメリットがあります。
薪ストーブには、主に3つの種類があり、一般的には対流式と輻射式の特長を兼ね備えたモデルが多く利用されています。
対流式は広い部屋を効率よく暖めることが得意であり、輻射式はストーブ本体が早く温まり、天板で料理することも可能です。
冬に温かさを提供し、暖房費用を抑えることができる薪ストーブですが、デメリットも無視できません。
特に注目すべきは薪の準備に関する課題です。薪を購入するのか、自分で薪割りをするのか、この準備にかかる費用や労力をしっかりと見極める必要があります。
また、煙突のメンテナンスを自分で行うのは難しく、業者に頼むことになるでしょう。
おしゃれで暖かく、たくさんのメリットが存在する薪ストーブですが、普通の暖房器具と比べると手間がかかるというデメリットも十分に考慮しておく必要があります。
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