お腹の不調で悩む方が避けるべき食品とその理由
腸に良いとされる食べ物を積極的に摂取しているにも関わらず、なかなか改善しないお腹の不調に悩んでいる方々へ。
その原因は、実はお腹と相性の悪い食品を摂り続けていることが影響しているかもしれません。
相性の悪い食品、つまり「高フォドマップ食品」を特定することで、お腹の不調を解消する手助けができるかもしれません。
「フォドマップ」とは何か?
フォドマップは「FODMAP」と書き、特定の糖質の総称を指します。これらは小腸での吸収が難しく、大腸で発酵しやすい特性を持っています。以下の頭文字を合わせた言葉です。
Fermentable:発酵性の
Oligosaccharides:オリゴ糖(フルクタン、ガラクトオリゴ糖)
Disaccharides:二糖類(ラクトース)
Monosaccharides:単糖類(フルクトース)
And
Polyols:ポリオール(ソルビトール、マンニトール、イソマルト、キシリトール、グリセロール)
通常、ほとんどの人はこれらの「フォドマップ」を問題なく消化・吸収することができますが、腸に不調を抱える方々は、これらの「フォドマップ」の一部を小腸で吸収できないことがあります。この吸収されない「フォドマップ」が小腸内に残ることが、原因となっている場合があるのです。
「フォドマップ」を多く含む食品は、一般に「高フォドマップ食品」と呼ばれています。以下に、ジャンル別に「高フォドマップ食品」の一部を紹介します。
こちらのサイトでは、食品名を入力することで検索が可能です。 https://fodmap.maonavi.com/ichou/63/
穀物類
パン、パスタ、うどん、ラーメン、大麦、小麦、ライ麦、とうもろこし、ピザ、お好み焼き、シリアル、たこ焼き、そうめんなど、多岐にわたります。
野菜
いも類(さといも、さつまいも、きくいも、たろいも)、玉ねぎ、にんにく、にら、長ねぎ、ごぼう、セロリ、キムチ、ゴーヤ、フライドポテト、カリフラワー、らっきょうなどが含まれます。
果物
柿、桃、さくらんぼ、りんご、梨、アボカド、西洋梨、スイカ、あんず、プルーン、グレープフルーツ、いちじく、プラム、ライチ、マンゴー、メロン、ドライフルーツなどが挙げられます。
きのこ・海藻
しいたけ、えのき、マッシュルームなどが含まれます。
豆
大豆、納豆、絹ごし豆腐、豆乳、いんげん豆、ひよこ豆、あずき、きな粉、えんどう豆などが当てはまります。
肉・魚・卵
ソーセージや魚の缶詰などが含まれます。
乳製品
牛乳、ヨーグルト、生クリーム、プロセスチーズ、クリームチーズ、カッテージチーズ、ブルーチーズ、コンデンスミルクなどが挙げられます。
油脂・調味料・甘味料
トマトケチャップ、固形スープの素、はちみつ、カレーソース、オリゴ糖、ブイヨン、果糖ブドウ糖液糖、ソルビトール、キシリトール、バルサミコ酢、バーベキューソース、カスタードなどが含まれます。
菓子・その他
カシューナッツ、ピスタチオ、アーモンド、スナック菓子、洋菓子、あんこ、ウーロン茶、アイスクリーム、プリン、ミルクチョコレート、ガム、キャンディ、シュガーレス菓子などが挙げられます。
お腹が不調になるメカニズム
小腸内に残存する「フォドマップ」が影響を及ぼし、小腸の濃度が上昇します。
人間の体は、この濃度を薄めようとし、大量の水分を血管内(小腸の表面)から吸収します。
その結果、小腸内に余分な水分がたまり、刺激を受けた小腸の蠕動運動が過剰になります。
このため、腹痛、腹鳴、下痢などの症状が引き起こされるのです。
また、吸収されなかった「フォドマップ」は大腸に移動し、腸内細菌によって過剰に発酵し、多量のガスを生成します。
その結果、ガス(おなら)の発生、腹部の膨張感、腹痛、便秘などの症状が現れることがあります。
お腹の不調に悩む方は、高フォドマップ食品の摂取が過剰になることが、悪影響を及ぼすと言われています。
このため、お腹の不調を改善するために、お腹と相性の悪い食品を見つける方法として考案されたのが、「低フォドマップ食」です。
「低フォドマップ食」とはどのようなものか?
「高フォドマップ食品」を控えることによって、お腹の不調を改善するための食事法です。
このプロセスは、3つの段階に分かれています。
1,「高フォドマップ食品」の制限
まずは、フォドマップが豊富に含まれる食品、いわゆる「高フォドマップ食品」を、2週間から4週間にわたり、日々の食事から除外します。この制限によって、お腹の不調が改善されれば次のステップに進むことができます。
もし変化が見られない場合は、フォドマップをうまく取り除けていないか、または「高フォドマップ食品」以外の要因(例えばストレスなど)が関与している可能性があります。その場合は、「低フォドマップ食」以外の方法(薬物療法や認知行動療法など)を検討しましょう。
2,制限した食品を再挑戦
1で制限した食品を、少量ずつ1品ずつ試していきます。具体的には、1日目にヨーグルト半カップ、2日目にヨーグルト1カップというように進めます。
症状が出なければ、その食品は食べても問題ない「高フォドマップ食品」と判断できます。もし症状が出た場合は、その食品の前に食べていた分量までなら大丈夫、あるいはその食品が不調の原因である可能性があると考えられます。
このプロセスを繰り返し、制限した中から自分の不調の原因となる食品を特定します。この期間の目安は6~8週間です。
「フォドマップ」が含まれる全ての食品の反応を調べるのは時間がかかるため、普段からよく食べている、あるいはこれから食べたいと思っている食品を中心に試していくと良いでしょう。
3,特定した「高フォドマップ食品」を避けて栄養バランスを保つ
2で特定した不調の原因となる「高フォドマップ食品」を避けつつ、栄養バランスの良い食事を心がけましょう。いくつかの食品を特定できるようになると、自分の体に合った食事を摂ることができるようになります。
結論
厳密に「高フォドマップ食品」を完全に避ける必要はありませんが、小麦粉を使用した食品を控えたり、おやつやランチを選ぶ際に「低フォドマップ食品」を意識することで、お腹の不調が改善されることがあります。
「低フォドマップ食」は、適切に行わないと栄養不足につながる恐れがあるため、注意が必要です。
厳格に実施する場合には、主治医や管理栄養士に相談することをお勧めします。
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