「スメハラ」という言葉を耳にしたことはありますか?
これは「スメルハラスメント」の略称で、他人に対して不快感を与えるような臭いのことを指しています。
具体的には、香水やタバコの匂い、口臭、体臭、さらには柔軟剤の香りなどが挙げられます。
柔軟剤にはさまざまな香りが存在しますが、それぞれの人には好みがあるため、好きな香りと嫌いな香りが分かれます。
また、香りの強さに関しても個人差が大きく、心地よく感じる人と不快に思う人の間で意見が分かれます。
今回は「柔軟剤の強い香りによる被害」と「柔軟剤の必要性」というテーマでお話しします。
「香害(こうがい)」で苦しむ人は逃げるしかないの?!
ある女性の実体験をご紹介します。
その女性は、子どもを幼稚園に送迎する際に強烈な柔軟剤の香りを嗅ぎ、結果的に激しい頭痛を引き起こし、その回復になんと3日もかかったという事例があります。
「香害」とは、強い香りを放つ製品がもたらす健康被害を指す造語です。
日本消費者連盟などによって設立された「香害をなくす連絡会」の調査によれば、約9000人の回答者のうち、7000人以上が「柔軟剤や香り付き洗剤などで体調を崩したことがある」と答えています。
その中の20%の人が「会社を辞めたり、学校に行けなくなった」と回答しています。
一方で、香りから離れるとほとんどの人が「体調が改善された」と感じるようです。
しかし、学校や職場では簡単に席を外すことができないため、強い香りが脳裏にこびりつき、ストレスを感じ続けることが多いです。
このような場合には、
・本人に直接指摘しにくい
・周囲からその問題を理解されにくい
といった状況が存在し、結果として多くの人が孤独に苦しむことになります。
さらに、自宅にいても隣家から漂う「柔軟剤」の香りが原因で体調を崩したという報告もあり、もはやこれは社会的な問題と呼んでも過言ではないでしょう。
なぜ体調が悪くなってしまうの?
柔軟剤の成分は、香料だけに留まらないのです。
- 抗菌剤
- 塩化水素
- シリコーン
- 塩化カルシウム
などの他にも、柔軟剤には多くの化学成分が含まれています。
これらの化学物質が、めまいや頭痛、吐き気、さらには思考力の低下といった症状を引き起こすことがあります。
繰り返し同じ症状が現れる場合、化学物質過敏症である可能性があるかもしれません!
香害になりにくい柔軟剤とは?
香害を避けるためには、無添加・無香料の洗剤や柔軟剤を選ぶのが良いでしょう。
無香料の製品の中には、抗菌や防臭効果を持つ商品も存在しており、洗濯後に発生する嫌な匂いを防ぐことができます。
使用者の口コミには、「強い香りがなく、水の臭いも消してくれるし、タオルも柔らかくなるのでとても快適になった」といった声が寄せられています。
ただし、無添加が必ずしも無香料を意味するわけではありません。
製品によっては無添加でも香りがついているものもあるため、購入時には注意が必要です。
なぜ柔軟剤は香りがついたのか?
メーカーが「柔軟剤に求める要素」を調査したところ、(1)香りの良さ(2)衣類を柔らかく仕上げる(3)防臭(4)静電気防止(5)抗菌の順番になりました。
各製造業者でも、香りがついている柔軟剤の方が売り上げが良いことや、ほのかに香ることで「清潔感」を感じると考えられています。
柔軟剤に「香りの良さ」を重視する方々も多く、洗濯物が干されてから片付けるまでの間に良い香りが漂うことで、達成感を得るという人もいます。そのため、いつの間にか「香りつき」の洗濯が習慣化し、開発が進むにつれて「香り成分や持続力」にも力を入れるようになりました。
柔軟剤の香りを香水の代わりとして利用し、「良い印象」を与えることが一つの売りにもなったのではないでしょうか。
柔軟剤って必要なの?
そもそも、柔軟剤は洗濯時に本当に必要なものなのでしょうか?
柔軟剤は元々海外で開発されたもので、特に海外では水質が硬水であることが多く、洗濯時に衣類がゴワゴワするのを防ぐために使用されます。
柔軟剤は洗濯後も衣類に残りやすい設計となっているため、蓄積されることで衣類が傷んだり、菌が繁殖しやすくなることがあります。
日本は軟水が多いため、実際にはそれほど柔軟剤は必要ではありません。
柔軟剤は衣類をコーティングし、肌触りを向上させる一方で、水をはじくことにより吸水性を低下させてしまいます。
さらに、コーティングが施されることによって部屋干しの際に乾きにくくなり、「生乾き臭」が発生しやすくなります。
また、洗濯物に柔軟剤が残ることで洗濯機内にカビが発生しやすくなるという問題もあります。
洗濯物によって柔軟剤を使い分けよう!
柔軟剤のコーティングには確かに役立つこともあります。
・静電気を軽減してくれる
・花粉やPM2.5から衣類を守ってくれる
アウターやシャツなどの衣類には柔軟剤を使用することで、より綺麗に着こなすことができ、花粉などからも守ることができます。
衣類の種類ごとに柔軟剤を使い分けることが望ましいですね。
まとめ
私自身、柔軟剤の強い香りが不快な人と接した経験があり、非常に苦痛に感じたことがあります。
柔軟剤が原因で体調を崩す要因の一つとして、「適切な量を守らない」ことがあると考えています。
柔軟剤の使用量を増やしたり、香りが強い外国製の柔軟剤を好む理由には、体臭を隠したいという思いもあるでしょう。
しかし、用量を守らないことによって必要以上に強い香りの衣類が本当に良い香りであると言えるのでしょうか?
香害を引き起こすほどの柔軟剤は必要ないと思います。
適切な量を使用することで、体調不良を引き起こすリスクを避けることができると考えます。
皆さんも、普段の洗濯物の量と柔軟剤の使用量が適切かどうか、再度考えてみていただければと思います。
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