ビーシュリンプは安易に飼ってはいけない!その理由とは?

アクアリウムの世界では、ビーシュリンプの飼育と繁殖が非常に人気を博しています。

その魅力は、鮮やかな色彩と小さく愛らしい姿にあります。

特に特定の種類においては、その価値が非常に高く、ビーシュリンプの繁殖は副業としても注目されています。

しかし、「簡単に繁殖できるだろう」との軽い気持ちで飼い始めるのは禁物です。

アクアリウム初心者の方は、思わぬ後悔をするかもしれません。

その理由は、ビーシュリンプの飼育や繁殖には高い難易度が伴い、時には費用が嵩むことがあるためです。

この記事では、そんな「ビーシュリンプ」について詳しくお話しします。

ビーシュリンプとは?

ビーシュリンプは、ヌマエビ科ヒメヌマエビ属またはカワリヌマエビ属に属する淡水エビの一種です。

体長はおおよそ3センチメートルで、特徴的な縞模様を持っていますが、その模様がハチ(Bee)に似ていることから「ビーシュリンプ」と名付けられました。

原種の茶色と白の縞模様を基に、品種改良が進められ、さまざまなカラーのシュリンプが誕生し、コレクションの対象となっています。

改良されたシュリンプは、色や模様の濃淡で選別され、特にグレードの高いものは1匹数万円以上で取引されることも珍しくありません。

安易に飼えない理由

ビーシュリンプの飼育や繁殖が簡単だという意見も聞かれますが、それはアクアリウムの経験や知識が備わっている場合に限ります。

ビーシュリンプを飼う際に安易に考えられない理由として、どのような問題や注意点があるのかを見ていきましょう。

ビーシュリンプは神経質

市場で流通しているビーシュリンプは、ほとんどが品種改良されたエビです。

そのため、水質や水温の変化に非常に敏感で、知らぬ間に数が減少してしまうことが多々あります。

水槽の設置場所の日当たりや室温の影響も受けやすく、室内での喫煙や殺虫剤の使用は絶対に避けるべきです。また、餌を与えすぎることも水質を悪化させる要因となりますので、十分な注意が必要です。

さらに、水草を増やしたり入れ替えたりする際には、残留農薬にも気を付けなければなりません。

熱帯魚には影響がない微量の残留農薬であっても、ビーシュリンプにとっては致命的であり、数時間で全滅してしまうこともあります。

このように、ビーシュリンプは非常に神経質で弱い生き物であるため、常に安定した環境を維持する必要があります。

水槽の立ち上げ

熱帯魚を飼育する場合、多くの人は水槽を準備して水を張った後、1〜2日ほどで熱帯魚を投入するでしょう。

しかし、ビーシュリンプの場合、この方法を取ると1週間も経たずに全滅する確率が高まります。

新しく立ち上げた水槽では、バクテリアが十分に繁殖しておらず、毒性の強いアンモニアを分解することができません。

その状態にビーシュリンプを入れてしまうと、瞬く間に死んでしまいます。

安全に飼育できる状態になるまでには、約3カ月の立ち上げ期間が必要です。

この3カ月間、放置するわけではなく、バクテリアを繁殖させるためにメダカやアカヒレなど、水質変化に強い魚を最初に投入します。その魚たちが発生させるアンモニアをバクテリアの餌にして、繁殖を促します。

このように、ビーシュリンプを迎えるためには、かなりの手間と時間がかかることを理解しておく必要があります。

気長に待つことができない方は、ビーシュリンプを飼うのは避けたほうが良いかもしれません。

水質

ビーシュリンプは、アンモニアや亜硝酸、pHの急激な変化に特に弱い生き物です。

そのため、突然の大量死や徐々に1匹ずつ死んでいくことも多く、常に水質の管理が求められます。

ビーシュリンプは小さな体で大量の餌を摂取します。そのため、糞から発生するアンモニアや亜硝酸の量が多く、定期的な水換えが必要です。特に夏になると水温が上昇し、水質が変わりやすくなりますので、特に注意が必要です。

水換えを行う際には、一度に大量の水を換えないことが重要です。水換えは水槽の3分の1程度が望ましいと言われていますが、それでもビーシュリンプが死んでしまうことが多いため、1日1回、コップ1杯程度の水換えを行うのが良いでしょう(もちろん、水槽のサイズにもよります)。

ビーシュリンプの飼育や繁殖を成功させるためには、pHが6.4〜6.9、硬度が2〜7、水温が20℃〜25℃前後の環境が理想とされています。

この条件を維持できれば、繁殖も容易に行うことができ、可愛い稚エビを楽しむことができるでしょう。さらには、うまくいけばそれを販売してお小遣い稼ぎにもなります。

水質管理は非常に細かく行う必要があるため、あまり水槽に手をかけられない方には向かない生き物です。

飼育設備

ビーシュリンプの飼育を始める前に、準備しておくべきアイテムがあります。

普通の熱帯魚を飼育する際と同じ設備で問題ありませんが、ビーシュリンプに適した環境を整えることで、より長生きし、繁殖を促進することができます。

濾過方法

水を濾過するためのフィルターにはさまざまな種類があります。それぞれにメリットとデメリットがありますが、濾過機能がしっかりとしたものを選ぶことが重要です。

その中でも「スポンジフィルター」は、エアーポンプを利用して空気を送るタイプで、特殊なスポンジを濾材として使用します。

上手に活用すれば高い濾過能力が期待でき、メンテナンスも容易で、水流の強さもエアーによって調整できるため、ビーシュリンプにとって理想的なフィルターと言えるでしょう。

加えて「外部式フィルター」を使用することで、さらに水質を安定させ、美しい状態を保つことができます。ただし、外部式フィルターは水流が強くなる場合があるため、使用する水槽のサイズに合ったものを選ぶ必要があります。

水温調整

ビーシュリンプは、水温が10℃を下回ったり、30℃を超えたりすると生存率が低下します。

そのため、「ヒーター」や「クーラー」が必要になります。

冬場には保温ヒーターを使用することが一般的ですが、「オートヒーター」を選べば、自動で一定の温度を維持することが可能です。

問題は夏の時期です。

水温を上げるよりも下げる方が難しいため、夏に高温になりすぎて死んでしまうことが多く見受けられます。

部屋の温度を一定に保つことが最も簡単ですが、年中24時間エアコンを稼働させ続けることは現実的ではありません。

そこで、水槽用のクーラーを使用して、夏場の水温を調整することをお勧めします。

底砂

底砂は濾過バクテリアの住処となります。

また、水草を植える際にも重要であり、シュリンプが脱皮する際の足場にもなります。

ただし、底砂の種類によっては水質を変化させるものもあるため、選択には十分な注意が必要です。

ビーシュリンプにも水草にも理想的な底砂としては「溶岩サンド」が挙げられます。

この底砂は非常に濾過能力が高く、水草の根も張りやすく、ビーシュリンプも快適に歩くことができる環境を提供します。

どの底砂にもそれぞれメリットとデメリットがありますので、飼育する生き物や水草、好みのレイアウトをよく考慮してから購入することが重要です。

まとめ

このように、ビーシュリンプの飼育や繁殖には、非常に多くの手間と設備投資が必要です

グッピーやテトラを飼う際には、水槽とセットで売られている簡易的な設備やメンテナンスで十分ですが、ビーシュリンプの場合はそれでは済みません。

水質や水温の管理を徹底しなければならず、手をかけてもポツポツと死んでしまうこともあるのです。

それほどまでに、ビーシュリンプの飼育や繁殖は難易度が高いものです。

水槽に手間をかける余裕がない、あるいは費用をかけたくないと感じるのであれば、ビーシュリンプの飼育は避けた方が良いでしょう。

ビーシュリンプが水草をツマツマしている姿は、本当に愛らしいものです。

稚エビの姿を探したり、どのような模様がいるかといった楽しみもあります。

もしビーシュリンプを飼うことを決めたのであれば、しっかりと下調べを行い、環境を整えた上で迎え入れるようにしてくださいね。

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