買っても使えない?買ってはいけない石油コンロ

昔から家庭に存在していた「石油コンロ」というアイテムについて、皆さんはご存知でしょうか?

この「石油コンロ」は、最近ではアウトドア活動や災害時の備えとしても非常に役立つアイテムとして人気を博しています。

現在では、石油ストーブと兼用できるモデルや、煮炊き専用のものなど、さまざまな種類の商品が販売されています。

そこで今回は、特にスタンダードな石油コンロについて詳しく調査してみました。

結論としては、安全性に懸念がある商品も存在し、実際に事故につながるケースも見受けられました。

今回は、そういった購入を避けるべき「石油コンロ」について詳しく解説していきます。

石油コンロとは

「石油コンロ」と聞くと、多くの人が昭和の時代を思い出す懐かしいアイテムだと感じることでしょう。

このアイテムは、非常にシンプルな構造で、石油(灯油)を充填するタンクと燃焼部分を備えた器具です。

「石油ストーブではないのか?」と疑問に思う方もいるかもしれませんが、実際にはその通りで、こちらは「煮炊き」や「暖房」の両方が可能な器具となっています。

強いて言えば、「火鉢」のような円形の形状が特徴であり、燃焼部の上に鍋ややかんを置いて調理を行うことが可能です。

そのため、ゴトクの周囲には少しコップや茶碗を置くスペースも確保されています。

名称の違いについては、赤く燃える燃焼部の上に鍋などを置けるゴトクがあるものがコンロで、鉄板で囲まれているものがストーブとされています。

ただし、調理用としては位置づけられていますが、特に大火力を必要とする調理には不向きです。

石油コンロのメリット・デメリット

自宅やアウトドアで、石油コンロを囲み、煮たり焼いたりしながら暖を取るスタイルは、まさにお座敷スタイルにぴったりなアイテムと言えるでしょう。

石油コンロのメリット 《設置場所を選ばないのが◎》

・円形の形状で、複数人で囲んで調理や食事、暖を取ることができる

昔ながらの団らんの場でよく使われていました。網を載せて餅を焼いたり、お湯を沸かしながら暖を取るのが一般的でした。

・電気コンセントが不要で、灯油と電池さえあれば調理が可能

点火方法により、電池のサイズや数量が異なりますが、電子点火の場合は単2電池が4本、熱コイル点火の場合は単1電池が2本が必要となります。

・円形で重心が低く、重量もしっかりしているため、転倒がしにくい

円筒形で直径は約36cmから50cm、高さは約33cm程度であり、重心が低く、重量も7kgから8kg程度と安定性が高く、安心して利用できる形状です。

・ランニングコストが安価で済む

長時間の使用に適しており、灯油1Lで5時間から6.5時間の連続使用が可能です。

石油コンロのデメリット 《火力不足が残念なポイントです》

・火力があまり強くない

ガスコンロの強力バーナーは約4.5kw、一般的なカセットコンロは1.8kwから2.9kwの範囲です。

それに対して、代表的な石油コンロの火力は1.59kwから2.15kwと、カセットコンロよりも火力が劣ります。

したがって、炙ることや煮ることには向いていますが、高火力を必要とする調理には適していません。

・換気が不可欠である

燃焼によって、一酸化炭素や二酸化炭素、窒素酸化物、水蒸気が発生しますので、十分な換気が必要です。

特に高気密な室内テント内での使用には細心の注意が求められます。

使用しないのが最も安全ですが、どうしても使用する際には「一酸化炭素チェッカー」を用いて中毒を防ぐことをお勧めします。

・安全装置がない商品も存在する

日本のメーカーが製造した石油コンロには、耐震自動消火装置が搭載されており、不適切な移動や転倒、地震の際には自動で消火してくれるため安心して使用できます。

しかし、安価な海外製品の中には、安全装置が全く付いていないものも存在しているため、注意が必要です。

石油コンロを使用する際の注意点と便利グッズ

「調理」と「暖房」の二つの機能を持つ「石油コンロ」ですが、両方の性能が低めであることが難点です。

そのため、「石油コンロ」を使用する際には注意すべき点がいくつかあります。

注意点は、大きく分けて3つ

・傾いた場所には設置しない

構造上、灯油の漏れや炎の偏りが生じて不完全燃焼を引き起こす可能性があり、大変危険です。

中には、傾きを防ぐために水平器が付いている製品もあります。

・換気ができない場所では使用しない

不完全燃焼時に発生する一酸化炭素は無味無臭であり、発生しても気付かないことが多く、非常に深刻な事故につながる恐れがあります。

また、換気を行わないまま時間が経過しても状況は改善しませんので、換気ができない部屋での石油コンロの使用は絶対に避けるべきです。

・点火装置がないタイプは点火時に注意が必要

燃焼器具全般に言えることですが、点火の際に火傷をしたり、衣服に炎が燃え移る危険性があるため、十分に気をつけなければなりません。

・不良灯油やガソリンを使用しない

不良灯油とは、長期間経過したり、水分が混入した灯油のことを指します。

これを使用すると不完全燃焼や異常燃焼を引き起こす危険がありますので注意が必要です。

同様に、間違ってガソリンを使用すると、事故のリスクが高まるため、しっかり確認してから使用しましょう。

便利なグッズも存在します

石油コンロでの火傷や火力調整、鍋のガタツキ防止に役立つオプションも市販されています。

・クッキングガード (コロナ専用)

燃焼面からの距離を取ることができるため、ゴトクのまま使用して焦げるリスクを減らし、火力の調整が可能になります。

不良灯油の見分け方

不良灯油には、「変質灯油」と「不純灯油」が存在します。

変質灯油は、経年劣化や酸化によって成分が変わった灯油を指します。

元々透明な灯油が変化し、黄色っぽくなったり、酸っぱい匂いを放つことがあります。

また、水分やごみなどが混入した灯油も不良灯油となり、灯油と水が分離したり、混ざり合った成分が容器の底に沈殿することがあります。

ただし、不良灯油はそのような状態が見られることが多いですが、すべての不良灯油が必ずしもその状態であるわけではありません。

見た目や匂いが問題ない場合でも、年越し灯油や何かが混入した灯油の使用は避けることが賢明です。

《簡単な灯油とガソリンの見分け方》
灯油かガソリンか不明な場合は、指先に少しつけて息を吹きかけてみて、蒸発すればガソリン、しなければ灯油と判断できます。

まとめ

かつては一般的に使用されていた石油コンロですが、時代とともに廃れてしまいました。

しかし、今では災害対策やアウトドア活動のために再評価されることは喜ばしい限りです。

とはいえ、使い方次第では便利な道具が危険なものに変わり得るため、注意が必要です。

購入を避けるべき「石油コンロ」をまとめると

1. 安価な海外製ストーブタイプ  (灯油のこぼれなどによる事故が多発している)
2. 日本製でも古い中古のタイプ   (安全装置の不具合により安全が確保されていない)
3. 安全装置が全く付いていないタイプ
4. 直接火で点火するタイプ     (火が怖い方や不慣れな場合)
5. 石油コンロ自体         (高気密高断熱の住宅で、結露への対応ができない場合)
上記の5つに加えて、換気が不十分な部屋では使用しないことが重要です。

燃焼機器は、どれを選んでも火災や火傷、一酸化炭素中毒の危険性が伴いますので、常に注意を怠らずに使用すべきです。

できるだけ、信頼できるメーカーの製品を選び、最低でも取扱説明書と保証がついているものを推奨いたします。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
古き良き時代の石油ストーブ、機会があればぜひ一度体験してみてください。

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