飼ってはいけない魚!その理由とは?

最近、自宅でアクアリウムを楽しむ家庭が増加してきています。美しく装飾された水槽を眺めると、心が穏やかになる感覚がありますよね。

熱帯魚を飼うことに興味を持つ方の中には、自然の河川や池から生き物を採取して楽しむ人も多いです。特にお子さんの観察用として持ち帰るご家庭も少なくありません。

自然の中でさまざまな生物に触れ、自宅でもその生き物たちを飼育したいという気持ちは、動物好きな人なら誰しも抱くものです。しかし、ここで立ち止まって考えてみてください。

自然で捕まえた生き物を本当に持ち帰っても問題ないのでしょうか?

いいえ、法律によって移動や飼育が制限されている生き物も存在します!

持ち帰って飼うことが禁止されている魚は、『特定外来種生物』と呼ばれる魚たちです。

この記事では、この特定外来種について詳しくお話ししていきます。

特定外来生物とは?

「外来生物」という言葉は、皆さんもよく耳にされるのではないでしょうか?

元々日本には存在しなかった生物が、意図的または非意図的に他国から導入されたものを指します。外来種の中には、私たちの生活に密接に関わっている農作物や家畜、ペットなども多く存在しています。

その中でも、日本の固有の生態系に悪影響をもたらす生物が特定外来生物とされ、外来生物法という法律によって飼育や移動が厳しく規制されています。

特定外来種生物は、元々日本に存在していなかった生物(外来生物)であり、飼育・栽培・保管・運搬・輸入・販売・譲渡・放出などの行為が原則として禁止されています。

外来生物法により、国外からの特定外来生物の侵入を防ぎ、飼育や運搬を禁止することで、国内における特定外来生物の拡散を防いでいるのです。

外来生物法とは、特定外来種生物による生態系等への被害を防止するための法律です。生態系、人間の生命・身体、農林水産業への被害を防ぐことを目的としています。
では、私たちの周囲に存在する特定外来生物にはどのような生き物がいるのでしょうか?

飼ってはいけない魚たち

実際にどの魚が特定外来生物に該当するのか、非常に気になるところですね。

2021年8月時点で、特定外来生物に指定されている魚類は26種類確認されており、その生息数も年々増加しています。

その中でも、特によく耳にする魚たちを紹介します。

  • ブラックバス(オオクチバス)
  • ブルーギル
  • オオタナゴ
  • ヨーロッパナマズ
  • カダヤシ

これらが該当します。特にブラックバスやブルーギルは非常に有名です。

川で釣りを楽しんでいる人々を見かけると、ブラックバスを釣り上げて楽しんでいる方も多いですが、今では持ち帰って飼育しようとする人は少なくなっているのではないでしょうか…。

自然採取をする際には、メダカを見つけることもあるでしょう。捕まえたら持ち帰って飼育する人も多いと思いますが、それが本当にメダカであるかどうかは確認が必要です。

A

B

こちらにAとBのイラストを示していますが、どちらがメダカかおわかりでしょうか?

両方とも日本の河川に生息している生物です。答えは、Aがカダヤシ、Bがメダカです。

形状やサイズが非常に似ているため、採取した際にじっくり観察しないと誤って持ち帰ってしまう可能性があるのです。

カダヤシは繁殖力が極めて強く、卵ではなく丈夫な稚魚を産むため、瞬く間に大繁殖してしまいます。

しかし、カダヤシは特定外来生物に該当するため、絶対に持ち帰って飼育しないでください!!

カダヤシだけではなく、採取した生物がどのような生物であるかを確認した上で持ち帰ることが重要です。

では、もし特定外来生物を安易に持ち帰って飼育してしまった場合、どうなるのでしょうか。

外来生物法を違反してしまったら?

特定外来生物の被害を防ぐために制定された外来生物法ですが、万が一これに違反してしまった場合、どのような罰則が科せられるのでしょうか。

許可なく輸入・販売・飼育・放出などの行為を行った場合、個人の場合は「3年以下の懲役または300万円以下の罰金」が課される可能性があります。

もし持ち帰ってしまった場合でも、再放流はできないため、殺処分されることになります。軽い気持ちで持ち帰るのは非常に危険です。

また、特定外来生物に該当しない観賞魚を放流することも避けるべきです。

「大きくなりすぎて飼えなくなった」「自然の方が生き延びられる」といった理由で、飼っていた魚を河川に放出する人もいます。

観賞魚の多くは品種改良され、見た目が派手に仕上げられていますが、そのような外見は自然界では捕食されやすく、生存するのが難しくなります。また、その場所にいる在来種を食べてしまうなど、悪影響をもたらす可能性もあります。

「一匹だけなら…」という安易な考えが、生態系を壊す原因となります。

まとめ

飼うことが許されていない魚たち。もしかしたら、過去に気づかずに飼っていたことがあるかもしれません。また、飼っていた金魚やグッピーを川に逃がした経験がある方もいるでしょう。

たまに川に遊びに行くと、大きく育った赤い金魚を見かけることがあります。

こういった行動が、「許可がないと飼えない」といった規制が設けられる原因となっているのです。

現在、日本の生態系に悪影響を及ぼす恐れがある生物として、さまざまな種類が特定外来生物に指定されています。魚に限らず、昆虫や鳥類、哺乳類、甲殻類、両生類などの種も駆除対象や規制の対象となっていますが、これらは私たち人間が意図的または非意図的に持ち込んだものです。

私たち一人ひとりが、この問題の深刻さを理解し、考えながら行動できるようになれば良いと思います。

スマホを使えば生物情報を簡単に調べられますので、自然採取を行う際は、しっかりと確認してから採取することをお勧めします。

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