買っても使えない?買ってはいけない石油ストーブ

暖房器具は多種多様に存在していますが、その中でも石油ストーブはかつて主流の一つだったことを知っている方は少ないかもしれません。

「暖」を取る手段は古くからあり、焚き火に始まり、煉炭や豆炭といった「炭」、さらにはストーブ、ファンヒーター、エアコンなどと、さまざまな形で進化を遂げてきました。

では、なぜ石油ストーブが選ばれるのでしょうか?「昔の暖房機器でしょ?」と思う方もいるでしょうが、それには重要な理由があります。それは、災害時や停電時、さらには電源のないアウトドア環境でも「暖」を確保できる貴重な機器だからです。

私自身も災害対策や個人用の暖房手段として石油ストーブを検討し、さまざまな情報を集めました。そして、結論としては、安全性に問題がある製品や、実際に事故を引き起こす事例も存在していることがわかりました。

今回は、そんな購入を避けるべき「石油ストーブ」についての情報をお届けします。

石油ストーブの仕組みとは?

石油ストーブは、アルコールランプと同様に、芯を使って「灯油」を吸い上げ、これを燃焼させる仕組みになっています。

灯油が燃えることで発生する熱が「空気」を温め、その結果、遠赤外線が放出され、「人や物」を温めるという暖房器具です。

石油ストーブは形状によって2タイプあります

大きく分けると、石油ストーブには2つのタイプがあり、反射板を用いて本体前方を効率的に温める「反射式」と、本体が360度全方向を温める円筒形の「対流式」があります。

反射式石油ストーブは、正面を温めるので小さいお部屋向き

「反射式」は、その名の通り鏡のような反射板によって熱を本体前方に反射させ、ストーブの前方を重点的に温める方式です。

本体の側面や背面は熱が伝わりにくい形状をしているため、壁際に設置することが可能です。

基本的に、給油タンクは取り外しができるため、重たいポリタンクやストーブ本体をわざわざ持ち運ぶ必要がありません。

このタイプの石油ストーブは、本体前方が最も温まりやすく、体感的にも即暖性に優れているため、小さな部屋に適しています。

昔の家庭では、テレビや反射式の石油ストーブが部屋全体に向けられるように設置されていることが多く見受けられました。

対流式石油ストーブは、パワフルで360度温めるから大きなお部屋向き

「対流式」は、ストーブを中心に360度全方位を暖める方式で、暖房能力が非常に高いものが多く、大きな部屋に適しています。

部屋の中央に設置することで、空間全体が均一に暖まります。暖められた空気は上方に対流し、さらに室温の上昇を促進します。

懐かしさを感じる形状も魅力的で、窓を通じて内部の炎が見えるデザインのものもあり、視覚的にも楽しませてくれる製品が多く存在します。

ただし、灯油タンクが本体に一体型となっているため、室内での給油が避けられず、「灯油がこぼれる」ことや「匂い」が室内に漂うという問題点があります。

石油ストーブのメリット・デメリット

メリットは、立ち上がりの速さなど意外に多い

– ストーブの上にやかんを置くことで、お湯を沸かすことができる。
– コンセントが不要なため、屋内外を問わず設置・使用が可能である。
– 部屋全体を温めることができるほどの高い暖房能力を誇る。
– 石油ファンヒーターとは異なり、温風を発生させないため、自然な暖かさを提供する。
– 灯油の燃焼時には水蒸気も発生するため、エアコンのように空気が乾燥することがない。
– 立ち上がりが迅速であり、ファンなどを使用しないため非常に静かである。

デメリットは、やはり自動化ができないところが大きい

– 灯油の補充が手間となる。
– 消火時に灯油特有の匂いが発生する。
– 室温に応じた出力調整やタイマーなどの便利な機能がなく、火力調節も粗い。
– 室内燃焼機器特有の「換気」が必ず必要である。
– ファンヒーターに付いている「不完全燃焼防止装置」などの安全装置が装備されていない。
– 乾燥しない分、結露が発生する場合がある。

石油ストーブは、点火・転倒・換気に注意!

燃料を強制的にガス化したり、電子制御を行わない石油ストーブには、残念ながら限られた安全装置しか存在しません。

一酸化炭素中毒のような換気不良による事故も含めて、危険性を十分に認識した上で安全に使用することが求められます。

点火  消火直後の再点火時は、服の袖にも気をつけて!

石油ストーブの点火方法で最も一般的なものは、電池を使用して火花を飛ばす「電子点火」です。

その他、電気を通すことで赤熱し高温を発生させるコイルを用いて点火する「点火ヒーター」という方法も存在します。

しかしながら、電池が切れたり故障したり、芯の着火部分が燃え尽きてしまった場合には、マッチやライターで直接火をつけることが必要になります。

この場合、特に再点火時には「衣服着火」の危険性があるため、注意が必要です。

消火後すぐの再点火や、灯油の未燃ガスが残っている場合には、炎が広がるリスクもあるため、慎重に行動する必要があります。

点火時には、芯の位置が正常であるかどうか、「対震自動消火装置」が作動した直後ではないかを確認することが重要です。

ハンドルを回すと点火するストーブ(電池レス)
メーカーのTOYOTOMIからはレバーを回すと点火する電池レスタイプも発売されています。

転倒  こぼれた灯油に引火することもあります

石油ストーブ本体が転倒したり、大きく揺れたりすると、灯油がタンクから漏れ出すことがあり、大変危険です。

揺れを感知すると消火する安全装置が作動するため、火がついたままの移動や地震時には自動で消火しますが、灯油の漏れには対処できません。

換気  一酸化炭素中毒対策には、警報機も有効です

石油ファンヒーターには搭載されている「不完全燃焼防止装置」が、一般的な石油ストーブには付いていないため、特に注意が必要です。

キャンプ時のテント内や、自宅での使用時には、定期的に換気を行うか「一酸化炭素警報機」を用意すると、さらに安全性が高まります。

残念ながら、燃料を強制的にガス化したり、電子制御を行わない石油ストーブには、限られた安全装置しか搭載されていません。

石油ストーブの安全装置とニオイ対策

他の暖房機器と比較すると数は少ないですが、安全装置や灯油のニオイを軽減するための装置が搭載されています。

対震自動消火装置
燃焼中に石油ストーブが揺れると、自動的に消火装置が作動します。多くは芯を強制的に下げて消火します。
給油時自動消火
通常、給油時には一度石油ストーブを消火してタンクを外す必要がありますが、点火したまま外すと自動的に消火します。
タンクのキャップ安全強化
キャップからの灯油漏れを防止するため、ワンタッチで開閉できるものや、タンク自体に漏れ防止装置が設置されたものも存在します。
ニオイ対策
時間をかけて消火したり、高温で未燃焼のガスを燃焼させることによって、ニオイ対策が施されている製品もあります。

まとめ

焚き火に端を発した「暖」を取る方法は、時代とともに進化してきました。燃費の観点からは、エアコンが最もコストパフォーマンスに優れていると言われています。

では、なぜ石油ストーブやファンヒーターなど、さまざまな暖房方法が存在するのでしょうか。それは、地域や住宅の構造が多様であるように、使用するシチュエーションや場所に応じてそれぞれ利点と欠点が存在するからです。

そのため、情報に惑わされず、自分の状況に合った製品を選ぶことが最も重要だと考えます。

ここで購入を避けるべき「石油ストーブ」をまとめると

1. 安全装置がないタイプ
2. 直接火で点火するタイプ (火に不安を感じる方や不慣れな場合)
3. 対流式のタイプ     (小さい部屋を温めたい場合)
4. 反射式のタイプ     (大きな部屋を温めたい場合)
5. 石油ストーブ自体    (高気密高断熱の住宅で、結露に対応できない場合)

加えて、換気が難しい部屋での使用は厳禁です。絶対に避けるべきです。

石油ストーブに限らず、燃焼機器を使用する場合は特に、信頼できるメーカーの製品を選び、最低でも取扱説明書と保証が付いているものを選ぶことをお勧めします。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。石油ストーブは見た目が魅力的で暖かさも感じられる一方で、事故や火傷といった危険が伴います。特に小さなお子様にとって、高温になる石油ストーブは注意が必要ですので、十分に気を配ってくださいね。

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