黒ずみや化粧ノリを悪くする原因となる角栓。
自宅で簡単に角栓を取り除ける毛穴パックは、多くの人にとって嬉しいアイテムですよね。しかし、「肌に悪影響を与える」「毛穴が広がる」といった噂を耳にすることもあるのではないでしょうか。正しい知識を身につけ、適切な方法で美しい小鼻を手に入れましょう。
角栓とは
「角栓」とは、毛穴の出口が狭くなり、そこに皮脂や角質が詰まることで形成されるものです。角栓の約30％は皮脂で、残りの約70％は角質細胞から構成されています。
通常、健康な肌では、皮脂腺から分泌された皮脂が皮膚や髪を適度にコーティングし、保護する重要な役割を果たしています。しかし、ホルモンの変化や乾燥、年齢による影響などにより、皮脂の分泌量が増えることやターンオーバー（肌の生まれ変わり）がうまく行われない場合、毛穴の出口が塞がることがあります。その結果、皮脂が詰まり、空気に触れることで酸化し、黒ずみとなって現れます。
角栓による毛穴の黒ずみは、特に鼻の頭や小鼻、額などの皮脂の多い部分にできやすく、周囲の目にも触れやすいため、見た目年齢にも大きな影響を与えます。また、角栓が大きくなればなるほど毛穴が盛り上がり、皮脂を栄養源とするニキビに発展する可能性も少なくありません。このような角栓による毛穴の黒ずみは、特に30代以下の若い世代に見られることが多く、年齢を重ねるごとに毛穴の開きとして見た目年齢をさらに悪化させる要因となります。
角栓が目立つ原因
①皮脂の過剰分泌
皮脂は外部からの刺激から肌を守るために必要不可欠な存在ですが、過剰に分泌されると毛穴を詰まらせ、汚れや皮脂が酸化して角質にこびりつく原因になります。この剥がれ落ちにくい状態の毛穴を塞ぐ栓が、まさに角栓なのです。
皮脂の過剰分泌は、男性ホルモンのレベルが大きく関与しています。男性ホルモンは皮脂の分泌を促進し、角質の柔軟性を低下させ、角栓の詰まりを助長する働きがあります。思春期から20代前半はホルモンバランスが不安定になり、皮脂の分泌が特に盛んに行われ、角栓が形成されやすくなります。また、20代後半以降でも、気温の上昇や不規則な生活、無理なダイエット、アルコールの過剰摂取、ビタミン不足、ストレス、生理周期などがホルモンバランスを崩し、皮脂の分泌が増加することがあります。
②乾燥肌によるターンオーバーの乱れ
角栓ができる原因は皮脂の過剰分泌だけではなく、「乾燥によるターンオーバーの乱れ」も重要な要素です。肌が乾燥すると、ターンオーバーがうまく機能せず、角質が毛穴に詰まりやすくなるからです。
ターンオーバーとは、肌細胞が生まれ変わる過程のことを指します。表皮の奥に位置する基底層で新しい細胞が生まれ、約4週間かけて表面の角質層へと押し上げられ、最終的には古い角質として剥がれ落ちるのです。この一連のサイクルが「ターンオーバー」と呼ばれ、スムーズに行われないと健康な肌状態を保つことが難しくなります。
正常にターンオーバーが行われている肌は、成熟した細胞がしっかりと水分を保ちながら並んでいます。しかし、乾燥状態が続くとターンオーバーが早まり、未熟な細胞が表面に出てくることになります。これにより、未熟な細胞は剥がれ落ちる機能が低下し、行き場を失った角質が毛穴に蓄積され、角栓が形成されます。また、乾燥は古い角質の排出を遅らせることも知られています。乾燥した肌は「カサカサ」とした手触りや見た目を呈し、これは細胞同士がうまく離れられないために起こります。つまり、乾燥によって、
・ターンオーバーが早まり未熟な細胞が積み重なる
・古い角質が剥がれにくくなる
といった変化が生じるため、角栓ができやすくなるのです。
角栓パックで角栓除去をするとどうなる？
①パックを貼った部分の、健康な角質細胞も取ってしまう
手軽に使用できる角栓パックですが、角栓だけではなく、これからの肌に必要な大切な角質細胞まで除去してしまいます。これが原因で、肌が乾燥し、外的刺激に対して敏感になってしまうことがあります。前述のように、「ターンオーバーを早めてしまう」ことにもつながるため、結果的に角栓が増える要因となることもあります。
②肌へのダメージが大きい
角栓パックは物理的刺激が強いため、頻繁に使用し続けると肌に大きなダメージを与える恐れがあります。パック使用後にシートに付着した毛穴の汚れを見て楽しむ方もいますが、使用頻度には特に注意が必要です。
角栓パックでケアする際の注意点
①使用頻度に気を付ける
繰り返しになりますが、使用頻度は最小限に抑えることが重要です。角栓パックを使ったからといって、すべての角栓を完璧に除去できるわけではありません。特に、深い毛穴に詰まった角栓は、パックで取り除くのが難しいです。取り除けないからといって無理に引き剥がそうとすることは絶対に避けるべきです。前述の通り、角栓パックは角質を取りすぎてしまったり、肌にダメージを与えたりするデメリットがあるためです。角栓パックは毎日使用するのではなく、せいぜい週に1回程度の使用にとどめておくことをお勧めします。
②使った後はしっかりと保湿を
角栓パックは肌表面の角質を取り去ってしまうため、乾燥しやすくなります。そのため、パックを行った後は、化粧水や美容液、乳液、クリームなどを用いて、普段以上にしっかりと保湿を行うことが重要です。オールインワンジェルを使用している場合は、重ね塗りが可能です。一度塗布した後、1時間後や就寝前などにこまめに重ね塗りを行うことで、より効果的な保湿が実現できます。
まとめ
このように、角栓パックを使用する際にはいくつかの注意点があります。角栓パックの使用が必ずしも悪いこととは限りませんが、日常のクレンジングをより丁寧に行ったり、ケア方法を見直すことも検討してみると良いでしょう。角栓パックの使用頻度を減らし、お肌への負担を軽減することが最も大切かもしれません。
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