誰もが将来に対して、ある程度の不安を抱えているのではないでしょうか。
特に、収入が減少する可能性や、少子高齢化に伴う年金の減額など、お金に関する不安を感じている方が多いのは事実です。
こうした不安を解消するために、資産運用を真剣に考えている人も少なくないと思います。
世の中には株式や投資信託、債券など、さまざまな金融商品が存在します。
そのため、運用を始めようと思った際に選択肢が多すぎて、どれを選べばよいのか迷ってしまうことも多いでしょう。
何が最適かは、個々のライフプランによって異なりますので、一概に最良の資産運用を提案することは非常に難しいです。
しかし、選択してはいけない商品もいくつか存在します。
この記事では、特に資産運用を行う際に避けるべき商品の一つとして、『外貨預金』について詳しく解説していきたいと思います。
外貨預金とは
まず最初に、外貨預金とはどのような仕組みの商品であるのかを詳しく説明します。
外貨預金とは、銀行などに預けている日本円の預金を外国の通貨に変換して預け入れることを指します。
外国通貨に切り替えることで、その国の金利に基づいた利息収入を得ることが可能です。
受け取れる金利は、各国の政策金利などに連動して変動します。
例えば、日本では金利が非常に低いため、銀行に預けていてもわずか0.01%〜0.1%程度の利息しか得られません。(銀行によって金利は異なりますので、必ずしもこの限りではありません)
一方で、アメリカでは日本よりも数%高い利息が得られる場合があります。
さらに、この金利差に加えて、外貨預金には為替変動リスクも存在します。
つまり、外国通貨に切り替えた後、為替が預け入れ時よりも円安に進めば為替差益が生じます。
逆に、円高になってしまった場合には為替損失が発生する仕組みとなっています。
外貨預金を買ってはいけない理由
ここまで外貨預金について説明を聞いて、為替のリスクはあるものの、金利差の魅力を感じた方もいるかもしれません。
では、なぜ外貨預金を選ぶべきではないのでしょうか。
その理由は大きく分けて2つあります。
通貨を切り替える際の手数料が高い
一つ目の理由は、手数料が非常に高いという点です。
外貨預金は、円から外貨に交換する際や、外貨から円に戻す際の両方で手数料が発生します。
仮に為替相場で利益が出ていたとしても、手数料を差し引くと損失が発生する可能性が十分にあります。
外貨の取引ではTTM(仲値)という基準レートが用いられます。
このTTMに取引手数料を加味したレートを、TTS(円貨から外貨預金に預け入れる際の為替レート)とTTB(外貨預金から円貨で引き出す際の為替レート)と呼びます。
実際に外貨預金取引を行う際には、このTTS・TTBを確認することが非常に重要です。
例えば円を預け入れた後、円で引き出す際にはレートが変わっていなくても手数料が引かれるため、実際に受け取る円の額は減少してしまいます。
預金保険の対象にならない
二つ目の理由は、外貨預金は円預金とは異なり、預金保険の対象外であるという点です。
これはペイオフとも呼ばれ、もし銀行が経営破綻した場合に預けているお金を保護する仕組みが日本には存在しています。
全額が保護されるわけではありませんが、1000万円までの預金がこの制度で保障されるのです。
しかし、外貨預金は残念ながらこの保護制度の対象にはなりません。
言い換えれば、銀行が破綻した場合、預けている外貨預金が一円も戻ってこないという非常に厳しい状況が想定されます。
外貨預金は為替の変動や手数料の負担以上に、預金保険が適用されないことが最大のリスクとなるのです。
外貨預金以外で為替差益を狙いたい場合の方法
ここまで外貨預金のリスクについて解説してきました。
それでも、今後円安になると予測し、為替差益を狙いたいと考える方も多いかと思います。
その場合の代替策についてお話しします。
為替変動のメリットは外貨預金だけではなく、他にも多くの金融商品が存在します。
以下のような金融商品でも、為替変動の恩恵を享受することができます。
投資信託
投資信託には、さまざまな種類が存在します。
国内株式や国内債券を運用するものから、外国株式や外国債券を取り扱うものまで多岐にわたります。
その中でも、外国資産に投資する商品であれば、為替の値動きを狙うことが可能です。
FX
FXもまた、為替の値動きを狙う手段として有効です。
その仕組みは外貨預金と大きな違いはありませんが、外貨預金に比べてFXは手数料が割安であることが特徴です。
あえて外貨預金を選ぶくらいなら、FXを利用して為替差益を狙う方が、よりコストパフォーマンスの良い資産運用ができるでしょう。
まとめ
この記事では、外貨預金を選ぶべきではない理由について解説いたしました。
日本は長きにわたり低金利の状況が続いています。
今後、海外との金利差が拡大する可能性がある場合、為替変動の恩恵を享受できるチャンスは確かにあると考えられます。
しかし、そのために高額な手数料を支払う必要はありません。
資産を増やしたいのであれば、利益だけでなく、コストパフォーマンスを意識した資産運用を心掛けることが重要です。
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