その見た目の可愛らしさと、さえずりの愛らしさが魅力の文鳥。
文鳥は、飼い主に非常に懐きやすく、ペットとしての飼育がしやすいと一般的に言われています。
しかし、犬や猫に比べると情報があまり多くないため、文鳥に興味はあるものの、飼うことに決心がつかないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
文鳥の世話は本当に大変なのか？
寿命はどのくらいなのか？
飼うためにはどのくらいの費用がかかるのか？
このような疑問を抱える方々のために、この記事では文鳥を実際に飼っている筆者が、文鳥の特徴や飼育方法、そして飼ってみて大変だったことについて詳しくご紹介いたします。
文鳥の基礎知識
文鳥とは
文鳥は、インドネシアに生息するスズメ目に属する小鳥です。
文鳥を含むスズメの仲間は、フィンチの一種として広く知られています。
フィンチ系の小鳥は見分けが比較的容易です。嘴や足の形状、そして歩き方に注目してみるとよいでしょう。
嘴は、種や昆虫をついばむために特化した形で、真っ直ぐで先端が尖っています。
足の構造は、前に3本、後ろに1本の形をしており、ぴょんぴょんと跳ねるように歩く姿が特徴的です。
文鳥の体長は成鳥で約15cm、体重はおおよそ25gで、片手にも収まる小さなサイズです。
体重が30g前後になると肥満の危険信号となり、人間と同じように健康を考えたダイエットが必要となります。
文鳥の性格
文鳥は非常に感情豊かな動物です。
愛情を持った相手には尽くし、甘えん坊な一面を見せる一方で、嫌いな相手には威嚇したり、容赦なく噛みつくこともあります。
また、文鳥は特に寂しがり屋で、時にはその寂しさから自分の羽をかじってしまうこともあります。
このように、文鳥には共通の性格が見られますが、オスとメスで性格に違いも存在します。
オスの文鳥は、基本的に活発でやんちゃな性格を持っています。
求愛ダンスや求愛ソングを披露し、好きな相手に積極的にアプローチをします。
意外にも、メスよりも警戒心が強い場合があり、新しいおもちゃには近寄らないことも多いです。
対するメスは、穏やかでマイペースな性格をしています。
オスよりも好奇心が旺盛で、新しいものに興味を示す個体が多いのです。
寿命
文鳥の寿命は一般的に7～8年とされていますが、飼育環境に応じて大きく変わることがあります。
オスとメスでは寿命に差があり、オスの方が長生きする傾向が見られます。
その理由は、メスが卵を産む際にかかる体への負担によるものです。
メスは卵を産むため、体に大きな負担がかかります。
卵が体内に詰まってしまう「卵詰まり」が発生すると、命の危険に直結することもあります。
一匹だけで飼っていれば卵は産まないから大丈夫だと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、メスは自分がパートナーと認識した人間に対しても発情し、無精卵を産むことがあるのです。
したがって、メスを飼う際には発情対策をしっかりと行うことが、長生きさせるための重要なポイントとなります。
文鳥の種類
多彩なカラーバリエーションを持つ文鳥たち。
ここでは、ペットショップでよく見かける代表的な種類をご紹介します。
■桜文鳥
黒と白の色合いが特徴の桜文鳥は、最も人気のある種類です。
体が頑丈で、人懐っこさから、初めて小鳥を飼う方にも向いています。
■白文鳥
全身が真っ白な美しさを持つ白文鳥。
明治時代に日本で誕生したとされており、夏目漱石の作品にも登場しています。
■シルバー文鳥
薄いグレーの色合いが特徴的な文鳥です。
シルバー文鳥の中でも特に色素が薄い個体は「シルバーイノ」と呼ばれています。
■シナモン文鳥
温かみのあるブラウン系の色合いが美しいシナモン文鳥。
オランダで誕生したとされています。
■クリーム文鳥
羽や頭部は白っぽく、腹部は赤茶色をしている文鳥。
赤い目が特徴的で、色素が薄い赤い目は光に敏感なため、日光の過剰な浴びすぎには注意が必要です。
費用
文鳥の価格は、種類や年齢によって2,000～10,000円ほどで取引されています。
桜文鳥や白文鳥は相場が5,000円前後で、シルバー文鳥やクリーム文鳥、シナモン文鳥は希少性が高いため、価格も高くなる傾向にあります。
初期費用としては、ゲージやペットヒーター、餌などの必要最低限のアイテムを揃えると1万円程度かかります。
餌代は1匹で月に500円前後が目安です。
餌代以外にも、電気代や消耗品代、病院代などの費用がかかります。
文鳥を飼う場合、電気代が上がることを予想しておく必要があります。なぜなら、文鳥の健康管理には温度調整が重要だからです。
人間には快適な温度でも、文鳥のために冷暖房やペットヒーターを利用することが頻繁にあります。
消耗品代は主に紙類に関わります。
鳥はトイレトレーニングができないため、フンの片付けには大量の紙が必要になります。
病院代は、どのような動物を飼う場合にも必要となる経費です。
病気になった時だけでなく、健康診断や爪切りのために定期的に病院に連れて行く飼い主さんも多いです。
したがって、ある程度の病院代がかかることは予め考慮しておくことが重要です。
文鳥の飼育方法
食事
生後間もないヒナは、自分で餌を食べることができないため、挿し餌が必要です。
ヒナ用の餌であるパウダーフードにぬるま湯を混ぜ、給餌器を使ってヒナの口に流し込む形で与えます。
ヒナが小さいうちは2時間おきに挿し餌をする必要があり、一人暮らしで日中自宅にいるのが難しい方は、一人餌になった文鳥を迎えるのがおすすめです。
成鳥の場合は、ペレットや混合シードといったフィンチ用の餌を1日1回新鮮なものに取り替えてあげる必要があります。
主食がシードの場合は、栄養のバランスを整えるために副菜として野菜を与えることが重要です。
放鳥
放鳥の時間は、文鳥にとっても飼い主にとっても楽しいひとときです。
文鳥も人間と同様に、健康を維持するためには運動が必要です。
最低でも1日30分は放鳥する時間を設けてあげることが望ましいです。
水浴び
文鳥は非常に清潔好きな性格です。
水浴びは羽を清潔に保つためには欠かせません。
ゲージに水浴び器を取り付けるか、放鳥時に水浴びをさせる時間を設けてあげる必要があります。
掃除
ゲージや止まり木、おもちゃは、週に1回から月に1回の頻度で水洗いを行います。
熱湯消毒をして天日干しにすれば、細菌の繁殖を防ぎ、より衛生的な状態に保つことができます。
ゲージ内には多くのフンが溜まるため、フン切り網の掃除は毎日の作業が必要です。
ゲージの底に敷紙を使っている場合は、1日1回交換することが求められます。
また、水飲み器や水浴び器、餌入れも毎日水洗いをして、清潔さを保つことが大切です。
温度・湿度の管理
文鳥の健康を維持するためには、温度管理が非常に重要です。
成鳥の場合、室温は20～25℃、湿度は50～60％を保つように、エアコンやペットヒーター、加湿器などを活用して管理します。
ヒナの場合は適温が30℃となるため、プラスチックケースなどにヒーターを入れて保温することが必要です。
文鳥を飼うと大変なことベスト５
このセクションでは、筆者が文鳥を飼う中で特に大変だと感じたことをご紹介します。
飼い主が好きすぎて離れない
文鳥は非常に愛情深く、寂しがりやの性格を持っています。
放鳥した際には、飼い主の傍を決して離れようとはしません。
幼鳥期から育てていると、ほとんどの文鳥が人の手を好むようになります。手の上で寝落ちしてしまうこともしばしば。
自分の趣味や家事を後回しにしなければならず、1日何もできなかったということもあります。
筆者はそれでも幸せを感じますが、人によってはストレスになるかもしれません。
また、ゲージの中にいる時も、「出して！」と必死に鳴いてアピールしてきます。
文鳥がいる環境でのテレワークは大変なチャレンジです。
病院探し
犬や猫を診察してくれる病院は数多く存在しますが、小鳥を診察することができる病院は意外と少ないのです。
さらに、小鳥を扱うと謳っていても、鳥を専門としない病院では提供できる治療が限られていたり、誤った診断や治療を行われたりすることもあるため注意が必要です。
実際、筆者は文鳥が怪我をした際に、信頼できる病院を見つけるのに苦労し、文鳥に辛い思いをさせてしまいました。
飼う前に、あらかじめ小鳥を診てくれる病院を探しておくことを強くお勧めします。
爪切り
爪切りは、文鳥にとっても飼い主にとっても気が重く感じられる時間です。
多くの文鳥は爪切りを嫌がり、暴れてしまいます。
暴れている文鳥を押さえつけながら爪切りをすることは、非常に大変な作業です。
爪切りを行った後、文鳥は警戒心を強めて近寄ってこなくなったり、爪を切りすぎて出血してしまう場合もあり、命にかかわることもあります。
とはいえ、爪切りのたびに病院に行くのもお金や時間がかかり、大変な負担になります。
爪切りは、多くの文鳥オーナーが頭を悩ませている課題の一つといえるでしょう。
温度や湿度の管理
飼育方法のセクションで述べたように、文鳥の飼育環境には適切な温度と湿度があります。
理想的な飼育環境を維持することは、想像以上に大変です。
冬に暖房をつけると乾燥して湿度が低下したり、夏に冷房を使用すると冷えすぎてしまったりと、室内環境に細心の注意を払う必要があります。
フン問題
これもすでに触れたことですが、鳥はトイレトレーニングができないため、問題が発生します。
ゲージの中では問題ありませんが、放鳥した際には家中がフンで汚れてしまいます。
実際、筆者は出勤前の洋服にフンをされたり、お風呂上がりの頭にフンをされたこともあります。
フンに対してある程度の寛容さを持たなければ、鳥を飼うことは難しいかもしれません。
まとめ
いかがでしたでしょうか？
比較的飼いやすいとされる文鳥ですが、病院探しや爪切り、温度や湿度の管理、さらにはフンの問題など、さまざまな大変なことがあることがわかりました。また、文鳥は懐きやすく、愛情深い性格を持つがゆえに、可愛らしさと同時に手間のかかる存在でもあります。
飼うにあたっては、自分の時間を文鳥に捧げる覚悟が必要です。
文鳥は小さな命を持つ生き物です。
飼ったからには、最後まで責任を持ってお世話をしてあげてください。
そして、ぜひ楽しく幸せな文鳥ライフを送っていただけることを願っています。
ポチップ
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