「パルスオキシメーターは新型コロナウイルスに感染した人が使用する機器である」という印象を抱く方もいらっしゃるかもしれません。新型コロナウイルスに備えて、パルスオキシメーターを購入する家庭が増え、オンラインストアなどでは在庫が不足する事態も見られました。しかし、果たしてパルスオキシメーターは本当に必要なアイテムなのでしょうか。
パルスオキシメーターは何を測定する機器か?
パルスオキシメーターは、血中酸素飽和度、つまり体内がどれだけ酸素を取り込んでいるかを測定するための装置です。この機器は、血液中の赤血球に含まれるヘモグロビンがどの程度酸素を運んでいるかをパーセンテージで表示します。
さらに、多くのパルスオキシメーターには脈拍を測定する機能も備わっています。脈拍とは、心臓が1分間に何回血液を送り出すかを示す指標で、血管の動きを通じて測定されます。
測定の方法
医療機関で用いられているパルスオキシメーターの多くは、洗濯バサミのような形状をしています。赤い光が放たれる部分に指先を挟むだけで、数秒のうちに測定が完了します。専門の医療従事者がいなくても、比較的簡単に装着して測定を行うことが可能です。異常な数値が出た場合には、数値が点滅したり、アラーム音で警告を発する機能が付いているものも存在します。
標準的な値について
血中酸素飽和度の標準値は、通常96%から99%とされています。もしこの値が90%を下回る場合、体内で十分な酸素を取り込めていないことを示しており、医療機関での評価や適切な処置が必要になることがあります。
脈拍については、標準的な数値は一般的に60回から100回程度の範囲内です。
パルスオキシメーターの価格帯と留意すべき点
ドラッグストアやオンラインショップで購入できるパルスオキシメーターは、価格が2,000円から1万円台まで幅広く設定されています。特に日本製にこだわる場合、価格が2万円近くになることもあります。どの価格帯の製品を選ぶべきか迷う方も多いことでしょう。
購入してはいけないパルスオキシメーターとその理由
家庭で使用するために、安価なパルスオキシメーターで十分だと考えて購入すると、後悔することがあるかもしれません。ここでは、避けるべきポイントをまとめました。
医療機器認証がないもの
まず、購入前に確認すべきポイントは、医療機器認証が付与されているかどうかです。医療機器認証がある場合、その製品は国内の一定の基準をクリアしていることを示しています。このような製品は、最低でも5,000円前後の価格帯になることが一般的です。また、初期不良が発生した場合に、メーカーからの保証が付いている製品もあります。
あまりにも高額なもの
Bluetooth接続が可能なパルスオキシメーターは、高額になることがあります。これらの製品は、スマートフォンのアプリと連携し、血中酸素飽和度の変動をリアルタイムで確認できる機能があります。しかし、一般的には酸素の数値を把握するだけであれば、そこまで高機能なパルスオキシメーターは必要ないことが多いです。用途をよく考慮してから購入するようにしましょう。また、高価なパルスオキシメーターを転売目的で購入し、値段を釣り上げる業者も存在しますので、粗悪品や中古品をつかまされるリスクを避けるためにも、信頼できる店舗での購入が重要です。
新型肺炎の予防目的での購入
新型肺炎が流行している現在、陽性判定を受けた人に対して自治体がパルスオキシメーターを貸し出すケースが増えてきています。これは、酸素飽和度が低下することで肺炎が悪化したかどうかを判断するための目安となるためです。しかし、中にはパルスオキシメーターを購入すれば新型肺炎を予防できると誤解している方もいらっしゃいます。購入しても感染を防ぐことはできませんので、必要以上に買い求めないようにしましょう。
購入したパルスオキシメーターが測定できない場合の対処法
購入したパルスオキシメーターが測定できない、もしかしたら粗悪品かもしれないと感じることがあるかもしれません。返品や修理を依頼しても同じ症状が続く場合は、測定時の注意点を確認してみましょう。
まず、測定の際には赤外線の光が指先にしっかり当たるようにしてください。机の上などに手を置き、静止した状態で指を挟むと、赤い光が当たりやすくなります。また、寒い季節などには指先が冷えていることにも注意が必要です。指が冷えると、血流が十分に行き渡らず測定ができなかったり、数値が低く出たりすることがあります。カイロなどを利用して指先をしっかりと温めておくと良いでしょう。さらに、女性の場合はマニキュアやジェルネイルが影響し、光が当たらずに測定できないこともありますので、可能であれば測定前に除去しておくことをお勧めします。
パルスオキシメーターが必要とされる人々
パルスオキシメーターを家庭で用意する必要があるのは、喘息などの呼吸器系の疾患を抱えている方や、現在肺炎などの病気を患っている方で、低酸素状態に陥るリスクが高い方です。また、在宅介護が必要な方には、主治医からパルスオキシメーターの準備を指示されることもあります。病気以外の例としては、登山を趣味とする方が高山病の予防のために持参するケースもあります。日本登山医学会では、そのような使用を推奨しています。
急を要する状況でなければ、慌ててパルスオキシメーターを購入する必要はありません。自分にとって本当に必要かどうかを考えた上で、準備を進めることが重要です。
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