買ってはいけない電子書籍 その理由とは?

電子書籍は、スマートフォンさえあれば、いつでもどこでも手軽に読めるため、その利便性は非常に高いものです。特に、物理的な書籍を持ち運ぶ必要がないため、日常生活の中での活用が容易であることが魅力的です。

最近では、多くの人々が自分の蔵書を電子化したという話も耳にするようになりました。このように、デジタル化が進む中、果たして電子書籍は紙の本に完全に取って代わる存在になるのでしょうか。

しかし、電子書籍には独特のリスクも伴います。これらの危険性について、本記事では詳しく解説していきます。

紙の書籍と電子書籍の違い

紙の書籍と電子書籍の違いやそれぞれのメリット・デメリットは、さまざまな場面で論じられています。そこで本記事では、別の観点からその違いについて考察してみたいと思います。

例えば、代表的な電子書籍販売サイトであるAmazonにアクセスすると、紙の書籍と電子書籍が同じように並んでおり、購入する際の手続きにおいてもほとんど違いを感じません。しかし、実際には紙の書籍と電子書籍には根本的な違いがあります。それは以下のポイントです。

紙の書籍 本の所有権を購入

電子書籍 本の閲覧権の購入

紙の書籍を購入した場合、その書籍そのものを所有することになりますので、物理的な本の所有権は購入者に帰属します。したがって、仮にその書籍が何らかの理由で販売禁止になった場合でも、すでに手に入れた本は、特に申告しなければそのまま手元に置いておくことが可能です。

では、電子書籍の場合はどうなるのでしょうか。実際に購入しているのは、その電子書籍を提供するプラットフォーム上で本を読む権利です。たとえば、芥川龍之介の『蜘蛛の糸』をAmazonのkindleで購入した場合、実際にはAmazonのkindle上でその作品を読む権利を得たことになります。重要なのは、購入した本そのものの所有権はなく、あくまでその書籍を読む権利のみが付与されるという点です。

したがって、もしその書籍が何らかの理由で販売禁止になった場合、電子書籍として購入していても、データが削除されてしまい、電子書籍上で読むことができなくなるのです。たとえ書籍データをダウンロードしていたとしても、読むためにはその電子書籍のアプリ(ウェブサイトも含む)が必要となり、同期した瞬間にダウンロードしたデータが消えてしまいます。

サービス終了の危険性

電子書籍は、所有権ではなく本の閲覧権を購入することになります。この点についても、再度紙の書籍と比較してみましょう。

紙の書籍の場合、購入した書店が倒産して閉店しても、書籍の所有権を持っているため、倒産した書店の債権者に本を奪われることはありません。では、電子書籍ではどうなるのでしょうか。電子書籍で購入しているのは、そのプラットフォームで書籍を読む権利であるため、そのプラットフォームがサービスを終了した場合、書籍を読むことができなくなる危険性が存在します。

実際にこれまでに、多くの電子書籍プラットフォームが登場し、その中でも10社以上がサービスを終了しています。サービス終了時には、以下のような対応が取られることが多いようです。

・購入代金の返金。ただし、現金ではなく何らかのポイントとして戻ってくる場合が多いです。

・ダウンロードしている書籍はその後も閲覧可能ですが、PCの買い替えやデータの破損があった場合、再ダウンロードができずに閲覧できなくなる可能性があります。また、閲覧ソフトのバージョンアップが行われないため、OSのバージョンアップにも対応できず、最終的には閲覧できなくなる時が来るでしょう。

・他社のサービスにデータが引き継がれる場合もありますが、この対応が一番問題が少ないと考えられます。

ただし、具体的な対応は「サービス終了のお知らせ」が出されるまでわからないことが多いです。私自身も利用していた電子書籍サービスが2社、サービスを終了してしまった経験があります。1社はポイント付与で返金されましたが、もう1社はサービス終了直前にお知らせが届き、返金もダウンロードデータの閲覧もできないという非常に厳しい状況でした

アカウント停止の危険性

一般的に言われる「アカBAN」、つまりアカウント停止の危険性も存在します。正規の利用方法でサイトを利用している限り、あまり危険性はないと考えられますが、電子書籍の閲覧だけでなく多岐にわたってそのサイトを利用している場合、思わぬ形で規約違反を起こし、アカウントが停止されることもあり得ます。

もし、アカウントが永久に停止されてしまった場合、そのアカウントで購入した書籍の閲覧権も失われてしまいます。紙の書籍であれば、アカウントが停止される前に購入した書籍については所有権を持っているため、返却する必要はありません。しかし、電子書籍の場合、たとえ1000冊や2000冊購入していても、アカウントが停止されれば二度とアクセスできなくなります。

電子書籍のpdf化はどうか

では、電子書籍を手元に置いておきたい場合、pdf化するのはどうなのでしょうか。これについては、ほとんどの電子書籍サイトで禁止されています。すべてのサイトを確認したわけではありませんが、一般的にどのサイトでもこの行為は禁じられていると考えられます。

電子書籍のpdf化は禁止事項であり、これを行うとアカウントが停止されるリスクがあるため、絶対に避けるべきです

買ってはいけない電子書籍とは

電子書籍は軽量で、スマートフォンがあれば電子書籍リーダーがなくてもどこでも本を楽しむことができるため、非常に便利です。しかし、永続的に利用できるかどうかには疑問が残ります。

そのため、いつまでも大事に保管しておきたい本は、電子書籍で購入するべきではありません。また、将来的にサービスが利用できなくなった場合、他社のサービスや紙の本での入手が難しいような本も、電子書籍として購入しない方が良いでしょう。読めなくなった時に後悔することになります。

もちろん、紙の書籍を購入し、さらに電子書籍でも購入するのは理にかなった選択です

プラットフォームに関しても、大企業だからといって安心できるわけではありません。大企業でも、収益が見込めない場合にはサービスを終了するリスクがあるからです。

逆に、電子書籍で購入しても問題ないものは、長期間所有しなくても良いような本です。また、著作権が切れた本を、格安または無料で提供しているサービスも存在します。これらの本は、もしサービスが停止してもそれほど経済的な痛手がないため、安心して利用できると思います。

まとめ

今回は、便利な電子書籍の持つ危険性について詳しく解説しました。いつでもどこでも読めるその利便性は確かにありがたいものですが、電子的な著作物には、かつてのMOやビデオのベータマックスのように、時の流れに逆らえず読めなくなるリスクも潜んでいます。

紙の本と電子書籍の良い点を組み合わせ、より充実した読書生活を送りたいものです。

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