日本では多くの人々が高い美意識を持ち、特に美白に関心を寄せている方が非常に多いのではないでしょうか。美白を目指すためには、ただ日焼け止めを塗るだけではなく、日焼けを防ぐためのアプリや、日傘、さらには日焼け対策用のアームカバーなど、さまざまなアイテムが利用されています。これらの製品は、日常生活において日焼けを防ぐための重要なツールとなっています。
日焼け防止のために多くの人が使う日焼け止めですが、実際には商品によっては肌にかぶれを引き起こしたり、湿疹が発生することもあります。肌に直接塗布し、大面積にわたって何度も塗るものだからこそ、その安全性についてはしっかりと理解しておく必要があります。そこで、今回は日焼け止めの安全性について詳しくお話ししたいと思います。
日焼け止めの安全性
2019年には、アメリカ食品医薬品局(FDA)が既存の日焼け止め成分について再審査を行いました。この再審査の前、2019年以前には16種類の成分が安全と認められていましたが、その審査は20年以上も前に行われたものであり、当時はこれらの成分が皮膚に塗った場合、体内に吸収されることはないとされていました。しかし、最近の研究では、これらの成分の中には経皮吸収によって体内のホルモンバランスを乱す可能性のある環境ホルモンの疑いがあるものが含まれていることが指摘されています。
2019年の再審査の結果、承認済みの16成分のうち安全性が確認されたものはわずか2成分のみでした。また、有害性が確認された2成分については使用が禁止されることとなりました。それに加え、残りの12成分については、同年11月までにその安全性を証明するデータをメーカーに提出するよう求められました。もしデータが提出されない場合には、販売禁止の措置が取られることになったのです。
日焼け止めに使用されている危険な成分
使用が禁止された日焼け止め成分である「オキシベンゾン-3」と「メトキシケイヒ酸エチルヘキシル(オクチノキサート)」は、いずれも紫外線吸収剤として知られています。紫外線吸収剤は、肌に塗布することで紫外線を吸収し、皮膚内部に侵入するのを防ぐ役割を果たします。紫外線を防ぐ効果は非常に高いですが、その一方で紫外線を吸収する過程で、肌に刺激を与えたり、赤みや湿疹を引き起こすこともあります。場合によっては、これがさらに悪化しアレルギーを引き起こす要因になることも考えられています。
オキシベンゾン-3
オキシベンゾンは、日本の厚生労働省が定めた化粧品に使用可能な紫外線吸収剤の32種類の中のひとつです。この成分はUVBおよびUVAの両方を吸収することができ、高いSPF値を持つ日焼け止めに広く用いられています。しかし、オキシベンゾンは経皮吸収が非常に高く、ホルモンの一種であるエストロゲンに対して有害な影響を及ぼす可能性があると懸念されています。妊娠中にこの成分を使用すると、胎盤を通じて胎児に悪影響を及ぼしたり、先天性疾患のリスクを高めると言われています。また、オキシベンゾンは母乳、羊水、尿、血液の中からも検出された事例があるため、その影響は非常に広範囲にわたると考えられています。さらに、男性の不妊症や癌の原因ともされており、アレルギーを引き起こす可能性も高いとされています。特に子どもは大人に比べてオキシベンゾンの吸収率が高いため、影響を受けやすく、親御さんは特に注意が必要です。
メトキシケイヒ酸エチルヘキシル
メトキシケイヒ酸エチルヘキシルは、UVBを吸収する最も一般的な紫外線吸収剤として知られています。この成分は、使用感を向上させるために配合される油分との親和性が高く、数多くの日焼け止めに利用されています。しかし、この成分にも環境ホルモン作用があることが分かっており、女性ホルモンだけでなく、男性ホルモンや甲状腺ホルモンにも影響を及ぼすことが確認されています。また、中程度の皮膚反応を引き起こす可能性もあるため、注意が必要です。実際、日本で販売されている日焼け止めの多くには、主成分としてメトキシケイヒ酸エチルヘキシルが含まれています。
日焼け止めは環境をも破壊する?!
ハワイでは、2018年にサンゴに有害な成分を含む日焼け止めの流通と販売を禁止する法案が可決され、2021年1月にはその施行が決定されました。観光客が持ち込む日焼け止めは規制の対象外ですが、観光客にもその有害性について情報提供が行われる予定です。具体的に禁止された成分は、オキシベンゾンとメトキシケイヒ酸エチルヘキシル(オクチノキサート)です。これらの紫外線吸収剤は、サンゴの表面に住み着く光合成を行う藻類を剥がし、サンゴを急速に白化させてしまうことが知られています。日焼け止めの研究者たちによると、オキシベンゾンはサンゴだけでなく、他の海洋生態系にも悪影響を及ぼす可能性があるとされています。さらに、この成分はハワイの海水や魚にも混入する可能性があり、それはひいては人体にも悪影響を及ぼすと考えられています。
安全な日焼け止めとは?
アメリカのFDAによって安全と認められた日焼け止め成分は、紫外線散乱剤の「酸化チタン」と「酸化亜鉛」です。これらの成分は、日焼け止めとしての効果を発揮しつつ、肌への負担も比較的穏やかとされていますが、白浮きしやすいというデメリットもあります。また、これらの成分を用いた製品の中には、使用感を向上させるために粒子をナノ化しているものも存在します。しかし、粒子が皮膚を通じて体内に入り込み、金属が蓄積する可能性が懸念されています。したがって、より安全な日焼け止めを探している方は、ナノ粒子不使用やノンナノの商品を選ぶことをお勧めします。
まとめ
今回は日焼け止めの危険性について詳細にお話ししましたが、いかがでしたでしょうか。日焼けが人体に与える影響は非常に気になりますが、肌に塗布した日焼け止めが自分の体内に吸収され、さらなる悪影響を及ぼす可能性があるとなると、日焼け止めの選択には慎重さが求められます。日焼け止めを選ぶ際には、危険な成分を避け、人体にも環境にも優しい製品を選ぶよう心がけましょう。
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