近年のDIYブームの影響を受けて、ホームセンターのみならず、ダイソーなどの店舗でも多種多様な工具が豊富に取り揃えられています。
さて、皆さんは「コンベックス」という言葉を耳にしたことがありますか?
もしかすると、あまり聞き馴染みがないかもしれませんが、一度は目にしたことがあるかもしれませんよ。
コンベックスは、金属製のテープ部分に目盛りが印刷されており、本体からそのテープを引き出して測定に使用します。たとえば、家電を購入する前に置くスペースを測ったり、材料の正確な寸法を測定する際に役立つ巻尺のことです。
このコンベックスには多彩な種類や機能が存在し、どれを選ぶべきか悩んでしまうこともありますよね。私は現場で必ずコンベックスを用いるため、数多くのモデルを購入してきました。ここでは、コンベックスの選び方について詳しく解説していきます。
コンベックスとは?
JIS規格において、コンベックスの正式名称は「コンベックスルール」と呼ばれています。一般的にコンベックスと称される製品は、以下のような機能を持っています。
- 先端にはフックが装備されている
- 基点が端面に設定されていることが多い
- テープの断面がとい(樋)状になっており、直立性に優れている
知っておくべき、コンベックスの基本仕様を確認
1) テープ幅
テープ幅は、6mmから27mmまで様々な選択肢があります。
幅が細いテープは、自重によって折れ曲がりやすく、目盛りが読みづらくなるため、計測作業時の効率が悪くなります。
19mmまたは25mm程度のテープ幅があれば、折れ曲がりにくく、目盛りも読み取りやすいため、作業がスムーズに行えます。
2) テープの長さ
テープの長さは、1mから15mまでさまざまなバリエーションがあります。
テープが長くなると本体も大きくなるため、家庭用としては3mから5.5mが適しており、建築現場での使用には5mから10mが推奨されます。
コンベックスの呼称は、長さの整数倍で示されます。例を挙げると、25-55という表示は、テープ幅が25mmで、テープ長さが5.5mということを意味します。
3) 材質とコーティング
テープの材質がスチール製の場合、折れ曲がりにくく、コストパフォーマンスに優れていますが、錆びやすいという欠点があります。錆びに強い製品が必要な場合や、屋外や水回りでの使用が多いなら、ステンレス製を選ぶのが良いでしょう。また、ほとんどのコンベックスにはコーティングが施されているため、使用する環境に応じて選択することが大切です。
- アクリル樹脂コート → アクリル樹脂で焼付け塗装が施されたスタンダードなコーティングです。
- ナイロンコート → ナイロンの被膜を加工し、耐摩耗性を強化したタイプ。砂やほこりが多い環境でも使いやすいのが特徴です。
- デュラコート → ナイロンコートより優れた耐摩耗性を持ち、目盛りが消えにくい特性があります。頻繁に計測する方におすすめです。
- シリカコート → シリカを含むコーティング剤を焼付け塗装したもので、反射防止効果があり、目盛りの視認性が高いのが特徴です。
4) JIS1級規格
コンベックスは、JIS規格(日本産業規格)に基づいています。各製品には「JIS1級」「JIS1級相当」「JIS2級」といった区分があり、JIS規格外のものも存在しています。
材料を切り出した際に、寸法が合わないと材料が無駄になってしまうこともありますよね。測定値に高い精度を求めるのであれば、JIS1級規格を取得しているコンベックスを選ぶべきです。
100円ショップなどで見かける安価なコンベックスは、JIS1級を取得していないものが多いです。JIS1級規格をクリアした製品には、テープにJISマークが付いていますので、購入時にはしっかりと確認することをお勧めします。
5) マグネット爪
テープ先端のフックに磁石が装着されているモデルもあります。磁石があることで、先端を鉄骨などに固定でき、計測が容易になるという利点があります。
また、本来の使用方法ではありませんが、狭い場所に落としたものを磁石でピックアップすることも可能で、現場では意外に重宝する機能です。
おすすめのコンベックスメーカー
TAJIMA → 1909年に創業し、建築用ハンドツールのブランドとして圧倒的なシェアを誇ります。コンベックスに限らず、様々なジャンルの建築用ツールを幅広く取り扱っています。
シンワ測定 → 「はかるものを創り、はかることを通して、多くの人の役に立ちたい」という理念を持つ「ペンギンマーク」が印象的な測定機器メーカーです。
コメロン → 1963年に韓国で設立され、物作りの精神を基盤にアメリカやヨーロッパにも展開しているメーカーです。
ムラテックKDS → 1937年に設立され、高品位かつ地球環境に配慮した製品作りをモットーとするメーカーです。
まとめ
今回は、コンベックスを選ぶ際に知っておくべき基本的な仕様について詳しく紹介しました。
各メーカーからは多様な機能を持つコンベックスが販売されており、使用頻度や用途、テープのコーティングや材質をしっかりと考慮することで、自分に最適なコンベックスを見つけることができるでしょう。
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