介護食品を安易に買ってはいけない理由

ドラッグストアやスーパーマーケットで簡単に手に入る介護食品について、皆さんはどのような印象を持っていますか?「栄養が豊富で健康に良さそう」「柔らかくて食べやすい」と感じている方も多いのではないでしょうか。

しかしながら、個々の状況に合わない選び方をしてしまうと、体に悪影響を及ぼす可能性があります。このため、この記事では、安易に購入すべきでない理由と、正しい選び方について詳しく解説していきます。

介護食品が必要な人ってどんな人?

まず、介護食品はどのような人々が利用しているのでしょうか。要するに、「通常の食事から必要な栄養を摂取することが困難な人々」です。

具体的には、食が細くて必要な栄養素が不足している方、脳梗塞の後遺症により飲み込みがうまくできない方、年齢や病気によって噛む力が低下している方などが挙げられます。こうした方々のために、多くの企業がさまざまな介護食品を開発しています。

しかし、さまざまな介護食品が存在することで、個々人に適した商品を選ぶことができる反面、種類が多すぎて不適切なものを選んでしまうこともあります。では、正しく選ぶためには何に気をつけるべきなのでしょうか。誤った商品を選ばないために、以下のポイントを整理してみましょう。

介護食品を使用する目的を明確にし、必要な栄養量を確認しましょう

まず最初に、1日に必要なカロリー量を把握することが重要です。カロリーとは、私たちが身体を動かしたり生命を維持するために必要な「エネルギー量」の単位です。このエネルギー量は、基礎代謝量と身体活動レベルの掛け算で算出されます。

健康な方はこの算出されたエネルギー量を参考にすることができますが、介護食品を使用する方はさらに詳細に調べる必要があります。病気による炎症がある方や、パーキンソン病などの無意識に身体が動いてしまう病気の方は、通常よりも多くのエネルギーが必要です。また、栄養制限が求められる病気を抱えている方は、それに適したエネルギー量を把握する必要があります。

このように、必要なエネルギー量は個人によって異なるため、信頼できる医療機関の医師や管理栄養士に相談して、正確な情報を得ることが大切です。

エネルギー量の過不足を調べましょう

必要なエネルギー量が分かったら、次に現在食べている食事のエネルギー量を調べてみましょう。しかし、食材の栄養価を一つ一つ調べるのは非常に手間がかかる作業です。

特に1日分の栄養を計算するとなると、かなりの時間を要することがあります。そんな時には、簡単に栄養計算ができるアプリを活用したり、管理栄養士に相談することをお勧めします。

現在の食事のエネルギー量を調査したら、必要なエネルギー量と比較してみましょう。

・必要なエネルギー量に対して、十分に摂取できている場合
→この場合、現時点では介護食品を使用する必要はありませんので、今の食事を続けていきましょう。

・必要なエネルギー量に対して、不足が見られる場合
→この場合は、介護食品を利用して不足分を補う必要があります。

介護食品に求めるものをさらに具体的にするために、以下の項目を確認してみましょう。

・どのくらいのエネルギー量を補充する必要があるのか。
・エネルギー以外に補うべき栄養素はあるのか。
・持病のある方は、主治医から制限を指示されている栄養素があるか。
・食事中に噛みにくさや飲み込みにくさを感じたことはあるか。また、飲み込む機能が大幅に低下していると言われているか。
・毎回食事を準備することを負担に感じていないか。

これらの情報を整理することで、補いたい栄養素がさらに明確になります。

加えて、介護食品には「普段の食事に加えて栄養を補うもの」「おかずを1品置き換えるもの」「1食まるごと置き換えるもの」といった多様な商品があります。いくつかの例を挙げてみましょう。

・家族と同居しており、いつも同じ食事を摂っているが、食事の量が減少しているため、手軽に栄養を摂取できるものを探している。
→この場合、間食として利用できる飲料タイプや、プリン、ゼリーなどのデザート類がお勧めです。

・一人暮らしで、自炊ができず、いつもスーパーマーケットで購入した弁当を食べているが、栄養が偏ってしまい病気が悪化している。
→この場合、栄養素が計算されたお弁当タイプのものが適しています。

・飲み込み機能が落ちてしまい、固形物が食べられず、食事はいつもミキサーで粉砕している。仕事が遅くなった日は、調理する時間がない。
→このような状況では、食事が作れなかった時用にストックできるおかずタイプが役立つでしょう。

このようにして、必要な介護食品の種類を絞り込んでいきます。「一人で考えるのは難しい」と感じる方は、ぜひかかりつけの病院の管理栄養士に相談してみてください。

実際に介護食品を選んでみましょう

これまでの情報が整理できたら、いよいよ実際に介護食品を選んでみましょう。介護食品は、多くの食品メーカーによって販売されていますが、各メーカーがどのような商品を展開しているかをすべて調べるのは非常に大変な作業です。

そのため、全ての製品を扱っている会社の総合カタログを利用することをお勧めします。このカタログには、各製品が種類別にまとめられているため、欲しい商品を見つけやすいという便利さがあります。

さらに、希望する商品が見つからない場合や迷ってしまった際には、専門のスタッフがサポートしてくれることもあります。そのため、初めて介護食品を購入する際には、総合カタログをぜひ活用してみてください。

おわりに

これまで、介護食品の選び方について詳しくお話ししてきました。最初にお伝えした通り、介護食品は正しく選ばなければ、その効果を十分に発揮することはありません。介護食品を「健康に良い」と思い込み、しっかりと調査せずに摂取していると、逆に持病を悪化させるリスクがあるのです。

正しい選び方をして、自身の体調管理に役立てていただければと思います。

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