おひたしや胡麻和えといった和食、さらにはグラタンやシチューなど洋食にも幅広く使用されるほうれん草は、苦味や独特の癖が少ないため、特にお子様にとっても食べやすい野菜の一つとして人気があります。しかし、そんなほうれん草にも潜む危険性について、皆さんはご存じでしょうか?この記事では、ほうれん草の持つ危険性について詳しくご紹介していきます。
ほうれん草とは
アカザ科ホウレンソウ属に属する葉菜であるほうれん草は、原産地がイランであり、日本には江戸時代初期に伝わったと言われています。漢字では「菠薐草」や「法蓮草」、さらに「鳳蓮草」とも表記されることがあります。
イランを原産地とするため、世界各国で親しまれている野菜であり、アニメ「ポパイ」ではほうれん草の缶詰を一気に飲み込むシーンが印象的で、多くの方がその記憶を持っているのではないでしょうか。
ほうれん草の旬は秋から冬。この植物は暑さに弱く、夏の強い日差しから守るために温度を下げて栽培されることが多いです。
2019年の野菜生産出荷統計によれば、全国でのほうれん草の集荷量は18万4,900トンに達します。特に出荷量が多いのは埼玉県で、約2万100トン、次いで群馬県、千葉県、茨城県が続き、これらの4県で全国の約38%を占めています。(農林水産省ホームページ「作況調査(野菜)」より)
ほうれん草は、鉄分や葉酸、カリウム、ビタミン類、カロテンなどが豊富に含まれており、見た目の美しさだけでなく、その栄養価の高さも大きな特徴です。特に鉄分や葉酸は貧血予防に、カリウムはむくみ対策に非常に効果的であり、食物繊維も豊富なため、特に女性にとって嬉しい食材と言えるでしょう。
最近ではスーパーマーケットなどで冷凍ほうれん草がよく見かけられるようになりました。冷凍野菜の利点は、生のものと比べてアク抜きなどの下処理が不要で、すぐに料理に使用できる点です。かつては栄養が流出すると言われていましたが、現在の急速冷凍技術のおかげで、栄養素の保持が可能となり、栄養素の減少について心配する必要はありません。
独特の味や香りが少ないため、様々な料理に使いやすいのもほうれん草の魅力です。しかし、そんな素晴らしい野菜でも、食べ過ぎることで危険が伴うことがあります。
食べすぎると危険?
ほうれん草には「シュウ酸」という成分が含まれており、実は過剰に摂取すると結石ができやすくなることが知られています。結石とは、尿中の成分が結晶化したもので、尿管に詰まると激しい痛みを引き起こします。これが一般的に聞く尿管結石というものです。
また、シュウ酸を多く含む食材として、たけのこやピーナッツ、チョコレートなども挙げられます。身近な食材であるため、過剰摂取にならないよう注意することが大切です。
余談ですが、結石を予防するためには、柑橘類やパイナップルなどのクエン酸を含む食材が効果的とされています。ただし、これらはカロリーが高いので、ダイエット中の方は食べ過ぎに注意が必要です。
ほうれん草からシュウ酸を完全に取り除くことは難しいですが、減少させることは可能です。シュウ酸は水溶性の性質を持っているため、ほうれん草を茹でた後、水にさらすことでシュウ酸を減少させることが期待できます。この作業をアク抜きと呼びます。
アク(シュウ酸)が残ったままだと、苦味が残り、料理の味を損なう原因になるため、健康を考慮しても美味しさを求める上でもアク抜きは必須と言えるでしょう。
- たっぷりの水を鍋に入れ、沸騰させます。
- 沸騰したお湯にほうれん草を入れ、2~3分ほど茹でます。
- 茹で上がったほうれん草を流水で冷やします。
- 根元からまとめて水を絞ります。
手間が少なく、簡単にアク抜きができるため、初心者の方でも挑戦しやすいですね。ほうれん草のアクが抜けるのは、茹でた後に水にさらすときなので、シュウ酸を減らしたいからといって長時間茹でることは意味がありません。それどころか、ほうれん草本来の栄養価が失われてしまったり、食感が悪くなったりする恐れがあるので、茹で過ぎには十分注意しましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?今回はほうれん草に関する情報をお届けしました。
ほうれん草を大量に食べることはあまりないかもしれませんが、過剰摂取を避けることで自然とシュウ酸の摂取量も減少します。
ほうれん草はその食べやすさに加え、栄養素を豊富に含んでいるので、料理の中にバランスよく取り入れていきたいですね。
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