
家庭ごとに異なりますが、揚げ物は食卓に頻繁に登場する料理の一つです。からあげやトンカツ、てんぷらなど、好んで食べる方も多いことでしょう。
ただし、揚げ物は油で調理されるため、どうしても衣が多くの油を吸い込んでしまい、結果的に高カロリーになってしまいます。食べ過ぎることで肥満や糖尿病、心臓病といったリスクが増加することは広く知られています。特に、揚げ物の一因として指摘されているのが「トランス脂肪酸」の存在です。
トランス脂肪酸とは?
トランス脂肪酸とは、分子構造の中にトランス型の二重結合を持つ不飽和脂肪酸の一種です。天然の動植物の脂肪中にはわずかしか存在しませんが、揚げ物に使われる油を加熱したり、空気に触れさせたりすることで酸化が進み、生成されます。その他にも、マーガリンやショートニングなどを製造する過程で水素を添加して硬化させる際に、多くのトランス脂肪酸が生成されるのです。
トランス脂肪酸のデメリット
トランス脂肪酸は、善玉コレステロールを減少させ、悪玉コレステロールを増加させるため、動脈硬化など心臓疾患のリスクを高めることが明らかになっています。このような理由から、アメリカでは2018年6月から、食品へのトランス脂肪酸の添加が全面的に禁止されました。さらにカナダ、シンガポール、タイ、台湾、香港などでも同様の規制が施行されています。また、WHO(世界保健機関)では、一日に摂取するトランス脂肪酸の上限を「約2g未満」と定めています。

買ってはいけない揚げ油は?
揚げ物に最も適さない食用油として名高いのが「サラダ油」です。
この「サラダ油」は、他の食用油と比べてリーズナブルな価格で手に入るため、多くの家庭で利用されていますが、製造過程において溶剤抽出法と呼ばれる方法が用いられることが一般的です。この際、使用されるのが「ノルマルヘキサン」という石油系溶剤であり、この「ノルマルヘキサン」は、皮膚や胎児、呼吸器などに悪影響を与える恐れのある非常に危険な物質です。
製造工程では除去されるとされていますが、その過程に不安が残ります。抽出後には精製という工程が行われ、ここでも熱を加えることでトランス脂肪酸が生成されるのです。
さらに「サラダ油」という名称は、なたね、綿実、大豆、ゴマ、紅花、ひまわり、トウモロコシ、コメ、落花生の9種類のいずれかを原料とした食用油を指します。
二種類以上を調合した場合は「調合ゴマ油」として知られています。
国内生産として販売されているものの多くは、これらの原料を輸入して製造されているのが実情であり、その大部分は遺伝子組み換えを積極的に行っている海外産となっています。
遺伝子組み換え食品には、ガンや白血病、不妊などの健康リスクがあるとの指摘があり、その安全性については保障されていません。表記する義務がないため、消費者はその情報を知る手段がありません。
サラダ油には「リノール酸」が多く含まれていますが、この「リノール酸」は必須脂肪酸である一方、摂取過多になると免疫細胞が正常に働きにくくなり、その結果、アトピーや花粉症などのアレルギー炎症疾患の原因となることがあります。
さらに、200℃以上に加熱すると「ヒドロキシノネナール」という物質が生成されます。この物質は人体の細胞の構成要素であるリン脂質を酸化させ、認知症の一因となるとされています。
買ってよい油は?
食用油には、オリーブオイル、ゴマ油、菜種油、米油、エゴマオイルなど、さまざまな種類がありますが、揚げ物に適しているのは「オリーブオイル」と「ごま油」です。
サラダ油は溶剤抽出法で製造されることが多いですが、他には低温圧搾法(コールドプレス製法)や圧搾製法などがあり、これらの方法は溶剤を使用せずに油を搾るため、安全性が高いとされています。オリーブオイルやゴマ油の多くは圧搾製法で製造されています。
オリーブオイルには「エクストラバージンオイル」と「ピュアバージンオイル」の2種類があり、前者は香りが強く、カルパッチョなどそのまま使用する料理に適しています。揚げ物には、「ピュアバージンオイル」を使うことをおすすめします。
オリーブオイルには強力な抗酸化作用を持つ「ポリフェノール」が豊富に含まれており、ポリフェノールの種類は4000種類以上、5000種類以上とも言われています。
オリーブオイルに含まれるポリフェノールには「ヒドロキシチロソール」と「オレオカンタールがあり、前者には肌の美白効果、動脈硬化の予防、肝機能を高める効果、関節痛の予防改善効果があるとされています。
さらに、オレオカンタールはアルツハイマー型認知症のリスクを低減する効果があると考えられています。
また、オリーブオイルの臨界温度は210℃と高く、揚げ物に使用しても酸化しにくい特性を持っています。

ごま油の臨界温度は150℃と低めですが、強力な抗酸化成分が豊富であるため、比較的酸化に強い油として知られています。実際、天ぷらの専門店などでもごま油が多く使用されています。
さらに、ごま油に含まれる「オレイン酸」は善玉コレステロールを減少させることなく悪玉コレステロールを減らす作用があり、動脈硬化の予防効果、若返り効果、がんや生活習慣病の予防効果も期待されています。

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