赤ちゃん専用の首浮き輪として非常に人気を博しているスイマーバ。
水面にちょこんと浮かぶ赤ちゃんの姿は本当に愛らしく、親としては一度は試してみたいアイテムの一つではないでしょうか。
さらに、ワンオペ育児をしているママたちにとって非常に便利なアイテムとして、友人からの推薦があることも多いはずです。
しかしながら、スイマーバには過去に何度も溺水事故が発生しているという事実をご存じでしょうか?
この記事では、スイマーバの詳細な特徴や正しい使用方法、そして実際に発生した事故事例について詳しくまとめました。
あなたのお子さんの命を守るためにも、スイマーバの潜在的な危険性について知識を深めておきましょう。
スイマーバとは?
赤ちゃん用の首浮き輪として広く知られているスイマーバですが、実際の正式名称ではありません。
正確には、スイマーバジャパン(Swimava Japan)が販売している「首リング」というタイプの浮き輪を指します。
なお、スイマーバジャパンでは首リングに加え、脇の下に挟んで使用する「ボディリング」や、沐浴の際に使うことができる1人用プール「マカロンバス」など、さまざまな製品を取り扱っています。
この「首リング」ですが、非常に小さな赤ちゃんが使用している様子を動画や画像で目にすることがよくあります。では、対象年齢は一体いつからなのでしょうか?
「首リング」の対象月齢って?
スイマーバジャパンの公式サイトによると、使用可能なのは浮き輪の上部にあごが乗るようになった時点からとされています。
また、スイマーバジャパンでは、首周りのサイズに応じたサイズ展開があり、最も小さいプチサイズは首周りが26cmとなっています。
体格には個人差があるため一概には言えませんが、まだ首が座っていない生後3ヵ月未満のお子さんでも適用できる可能性があります。
その後は、生後18ヵ月(1歳半)かつ体重が11㎏に達するまで使用することができるとされています。
次に、使い方についてご紹介します。
使用方法はとっても簡単!
首リングの使用方法は非常にシンプルで理解しやすいのが特徴です。
①まず、浮き輪の上下にある2つの空気栓からリングに空気を注入し、水中に60秒間沈めて空気漏れがないかを確認します。
②赤ちゃんのあごの下から装着し、首の後ろで上下2か所のベルトをしっかりと留めることが重要です。この際、お座りができるようになる(約生後6ヵ月頃)までは、大人2人が協力して装着することをおすすめします。
③最後に浴槽の水温や水深を調整し、赤ちゃんをゆっくりとバスタブに入れます。
この手順はたったこれだけです!
大人用の浮き輪と異なる点は、赤ちゃんの首で浮き輪を固定するためのベルトが付いていること</でしょうか?
親しみやすいアイテムであるだけに、気軽に使ってみたくなる気持ちがよくわかりますね。
手軽に使える首リングですが、赤ちゃんにはどのような効果があるのでしょうか?
首リングは赤ちゃんや保護者にとって良いことがたくさん!
スイマーバジャパンの公式サイトでは、首リングの効果について以下のように紹介されています。
プレスイミングが体験できる
プレスイミングとは、水に浮かぶことで水への恐怖感や抵抗感を取り除き、水中でのバランス感覚を養うことを目的とした活動です。
さらに、心身ともに感覚を刺激することによって赤ちゃんの好奇心を高める効果も期待できます。
寝つきが良くなる
首リングを使うと、赤ちゃんは水中で自由に身体を動かすことができるため、全身運動による適度な疲労感から、寝つきが良くなることがあると言われています。
また、毎日一定の時間にスイマーバを使用することで、食事・睡眠・遊びの生活リズムを整えやすくなるというメリットもあります。
親子のコミュニケーションになる
プカプカと浮かびながら遊ぶ赤ちゃんを目の前にして、笑顔を浮かべない保護者はいないでしょう。
笑顔のパパとママとの触れ合いは、赤ちゃんにとって素晴らしいコミュニケーションの場となります。
このように首リングには多くの良い点がある一方で、溺水による事故が多く報告されていることをご存知ですか?
ここからは、実際に発生した事故事例をいくつかご紹介します。
実は溺水事故が多発している首リング!
首リングを使用中に発生する溺水事故は、実際に後を絶たない状況です。
事故に遭った子どもたちの大半は救急搬送や入院を余儀なくされており、中には植物状態になってしまった子どももいるという非常に深刻な事例も存在します。
このことを受けて、消費者庁や国民生活センター、東京都、東京消防庁、日本小児学会など、多くの機関が注意を喚起しています。
※消費者庁、国民生活センター「首掛式の乳幼児用浮き輪を使用する際の注意について」
ここでは、実際に起きた事故事例を3つのパターンに分けて紹介します。
パターン① 空気の入りが少なかった、または抜けてしまった
・生後4ヵ月の乳児
首浮き輪を装着した状態で浴槽に入れ、親が1〜2分の間自分の髪をシャワーで濡らしていた際、確認すると浮き輪が外れてうつ伏せの状態で浮いていた。事故後に首浮き輪を水に浸すと、わずかに空気が漏れていることが判明した。
・生後6か月女児
母親と一緒に入浴中、母が1〜2分髪を洗っている間に首浮き輪を装着したまま湯船で遊んでいたが、気づいたときには顔面が青ざめ、便を漏らしており、首浮き輪によって鼻が閉塞し、口は水面下にある状態であった。空気がやや抜け気味だったとの報告がある。
・生後6か月男児
首浮き輪をつけたまま浴槽に入れたが、この日に限って衣類やおむつの準備のために1分ほど浴室を離れた。戻ったときにはうつ伏せの状態で底に沈んでおり、浮き輪はベルトが付いたまま浮いていた。首浮き輪は周囲の母親から便利だと聞いて生後1か月から使用していたもので、成長と共に子どもの首が太くなり、楽になってきたため、空気をしっかり入れずに使用していたということです。
パターン② ベルトを着け忘れた、使用中に外れてしまった
・生後6ヵ月の乳児
入浴中に2~3分目を離したところ、気づいたときには浮き輪のベルトが外れていた。その時、乳児の顔は浮き輪から下がっていて、鼻の下まで湯に浸かっていたという事例です。入浴時にはいつも首浮き輪を使用していたが、この時は2か所のベルトのうち下1か所を留めていなかったことが後に判明した。
パターン③ 原因不明
・生後4ヵ月の乳児
親、幼児、乳児(生後4ヵ月)の3人で入浴中、首浮き輪をつけた乳児から目を離し、幼児の世話をした後に乳児の様子を確認すると、顔面が蒼白で唇が紫色になり、呼吸が停止していたとのこと。
・生後8ヵ月女児
浴槽に30センチ湯を張り、首浮き輪を装着していたが、母親がミルクを作るために浴室を離れて2分ほどして戻ると、浮き輪が外れており、子どもが仰向けの状態で底に沈んでいたという事例がありました。
特異な例ではありますが、過去には死亡事例も存在します。
2019年に埼玉で発生した虐待事件では、首浮き輪を装着したまま1時間半ほど湯舟に浸かっていた結果、脱水によるショック状態に陥り、死亡したという事例が報告されています。
虐待による稀なケースとは言え、赤ちゃんのことをつい忘れてしまう状況は決して想像できないものではありません。
いずれにせよ、保護者が目を離してから数十秒から数分の間に起こる事故がほとんどです。
スイマーバジャパンの公式サイトでも、使用中は絶対に目を離さないこと、首リングは赤ちゃんを待たせるためのアイテムではないと明記されています。
まとめ
その可愛さと便利さから、思わず手が伸びてしまうスイマーバの首リング。
正しい使用方法やその危険性をしっかりと理解した上で、使用について慎重に考慮することを強くお勧めいたします。
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